大分トリニータ 勝利を引き寄せる逆襲の象徴・鮎川峻 【大分県】

30節の藤枝戦でホーム5連敗を阻止し、4試合ぶりの勝利を飾った大分トリニータ。7月に広島から育成型期限付き移籍で加入した鮎川峻が、移籍後初得点を挙げた。下平隆宏監督は「ぐいぐいチームの輪に入るタイプでないので心配だったが、(移籍後)初先発の期待に応え、彼らしいプレーで点を決めてくれた。これでチームの一員になってくれた」と喜んだ。

トップ下や2列目のサイドも柔軟に対応できるオールラウンダー型FWの鮎川は、移籍後は与えられたポジションでしっかり役割を果たしていた。藤枝戦ではポストプレーを得意とする長沢駿とプレーしたことで、本来の輝きを放った。「(長沢)駿くんが体を張って起点をつくってくれるので、トップ下の位置で自由に動けた」(鮎川)。長沢と付かず離れずの距離感を保ち、縦パスが入ると長沢から落としのパスを受けてドリブルで仕掛ける。藤枝戦では鮎川の推進力が攻撃の勢いをつけた。

移籍後初得点を決めて喜ぶ鮎川峻

味方に生かされる術を心得ている。サイドや後方でボールを受けた選手が顔を上げた瞬間に空いたスペースに走り込む。その時のタイミングが絶妙。藤枝戦の得点も高畑奎汰のクロスに対し、ゴールに近い位置に走り込んだ長沢を確認して、空いたスペースを狙った。さらに、ゴール前での駆け引きのうまさも欠かせないポイントだ。トップギアに上げる一瞬の動きでマーカーを置き去りにし、8割のスピードでボールにアプローチできる分、体のバランスを崩さずに高い精度のシュートが打てる。ダイレクトで足を合わせるワンタッチゴールが多いのは、これらの技術があってこそ。

パスの出し手となる選手それぞれの持ち味を練習の段階でしっかり把握し、どんなスピード、角度でパスやクロスが来るのか予測した上で、自分の力が発揮できるポジションを見つけ出すことができれば、得点を量産できる可能性はある。ここ数試合は停滞ムードが漂っていたが、再びプレーオフ出場圏内となる6位以内に引き上げた鮎川。逆襲のキープレーヤーになりそうだ。

得点量産が期待される

(柚野真也)

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