えべっさん総本社「西宮神社」屋根ふき替えへ 本殿と拝殿 戦後の再建以来60年ぶり大事業

約60年ぶりに屋根のふき替えを行う西宮神社の拝殿=西宮市社家町

 えべっさんの総本社である西宮神社(兵庫県西宮市社家町)が、本殿と拝殿の屋根をふき替える「令和の本殿御屋根葺替(おやねふきかえ)事業」を実施する。第2次世界大戦で焼失し、戦後復興の中で再建されて以来、約60年ぶりの大事業。2024年11月に完了予定で、真新しい姿で「市制百年奉告祭」に臨む。(村上貴浩)

 西宮市が25年4月に市制100年を迎えることに合わせ、24年1月下旬から11月まで工事を行う。同神社では100年前にも、市制の始まりを祝ったと伝えられている。

 少なくとも平安時代には存在したとされる同神社では、長い歴史の中で何度も建物の損壊と復興を繰り返してきた。1663年に将軍・徳川家綱が再建した拝殿と本殿が長らく残ってきたが、第2次世界大戦で空襲被害に遭い、本殿を含むほとんどの建物が焼失。1961年に復興を遂げ、現在に至る。

 戦前の屋根はヒノキの皮を重ねる「檜皮葺(ひわだぶき)」の技法が使われていたが、戦後復興の際に見た目が似ていて、より強度のある銅板に変わった。銅板は縦40.5センチ、横18センチで計約2万3千枚を組み合わせる。工事期間中は、西側につくった仮の本殿に神体を移すという。

 同神社では新しい屋根に使われる銅板への寄付を募っている。1枚3千円で「商売繁盛」や「家内安全」といった願い事、名前を書くことができる。8月上旬時点で約7千枚が集まっているという。

 屋根以外にも柱や外壁の修繕、境内の参道やトイレの整備なども実施する。

 吉井良英権宮司は「銅板は屋根として次の60年残り続ける。多くの市民や参拝者に名前を残してほしい」としている。

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