【別府】別府市楠町、千代町にまたがる商店街「楠銀天街」(全長350メートル)について、市が国の補助金を活用し、アーケードの撤去費を公費負担する方向で調整していることが15日、市への取材で分かった。老朽化により通行人に危害を及ぼす恐れがあるが、所有する民間団体が対応できず、地元が市に対策を求めていた。計画がまとまり次第、市議会に関連予算案を提出する。
計画では地域一体のインフラ整備を支援する国の補助事業(補助率2分の1、上限1億円)を活用。市はすでに撤去費用を試算し、国と協議を進めている。
市によると、楠銀天街は市内に三つあるアーケード商店街の一つ。かつては100店舗以上が並び別府有数のにぎわいを見せたが、近年は十数店舗まで減っている。
アーケードは1953年建設。その後に再整備された。現在は屋根周辺の破損、支柱の劣化が目立ち、部材脱落などの危険性がある。所有者だった「別府楠銀天街協同組合」が解散し、任意団体の「くすぎん通り会」が引き継いだが維持、管理できず、撤去費の確保も困難な状況という。
地元の住民組織「南部ひとまもり・まちまもり協議会」によると、エリア内の別の組織が2017年、市に対策を求めたことを機に本格的な議論がスタート。協議会と市で設置した検討委員会は今年2月、アーケード撤去をまちづくりの一環に位置付け、市の支援を求める方針をまとめていた。
民間の所有物であるため、市は原則、公金投入は難しいとの立場だった。関係者によると、撤去費の半額分を賄える国の補助が打開策になった。
協議会の清家政人会長らは15日、市役所を訪れ、公費負担を正式に要望。「一層の老朽化により大変危険な状況にあり、まちづくり活動を進めていく上での支障」と書いた要望書を長野恭紘(やすひろ)市長に手渡した。
長野市長は「国に相談し一定程度、理解を示してもらっている」と回答した。