8月折り返し

 夕方、買い物に出ると、火薬の焦げた匂いがふわりと漂って、爆竹の破裂音がひっきりなしにバリバリと聞こえてきた。長崎の8月15日がにぎやかに過ぎた▲日付やカレンダーの話をするたびに「早い早い」とばかり書いている。年齢的にあまり目新しい出来事が起きず、日々をぼんやりと過ごしている筆者に特有の現象なのだろうか、と気になって、試しに同僚に尋ねてみた▲「お昼にサイレンが鳴るのを聞いて『あ、もう15日なんだ』と思いました」と話してくれたのは入社3年目の若手記者だ。きっと、毎日の過ごし方は違っているはずだが、同じ“もう15日”派を身近に見つけて安心した▲手帳に何も予定のない日はなかなか時間が過ぎないように感じるものだが、逆に手帳が予定でぎっしり埋まっても、やっぱり1日はなかなか終わってくれない。しかし、そうした日々が集まった1週間や1カ月は、どっちも「あっという間」に過ぎているから時間は不思議▲子や孫の帰省、推しのライブ、遠距離恋愛の2人の再会…日付をマルで囲んだ楽しみな予定は簡単には近づいてこないのに、望まない行事は猛然と接近してくる▲宿題は順調に進んでいるだろうか。昔も今も8月の残りは「夏休みはあと○日」と呼び方を変えた途端に恐ろしい勢いで減っていく。(智)

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