取った資格440超「受験オタク」、大切なのは「わくわく感」 逢坂さん(青森・むつ市出身)

数々の認定証書を前に、試験対策のコツを説く逢坂さん

 第1級陸上無線技術士、システム監査技術者、集中力アドバイザー、DJ検定、あおもり検定…。国家資格からウェブで受験できるもの、ご当地検定まで、手にした資格は440超。システムエンジニアの逢坂誠一郎さん(62)=青森県むつ市出身=は、自他共に認める「受験オタク」だ。

 それだけ資格を取るならよほどの勉強家では…と身構えてしまうが、逢坂さんは「いかに時間をかけず、効率的に試験対策するか、ですよ」とにこやかにコツを説く。「試験は記憶したことを会場でアウトプットするだけ。勉強や研究と違う」とばっさり。趣味の登山に例えれば、登る山(受ける資格)を決め、どのような山(試験)かを調べ、準備し、登る(受験する)プロセスと一緒、と語る。

 ただ、何といっても大切なのは「好奇心」。楽しみながら勉強すると記憶がよみがえりやすい、とか。「資格は趣味。受からなくても、次の日から路頭に迷うわけではない。わくわく感が大事なのです」

 複数の試験準備を同時に進めるのが「逢坂流」だ。会社勤めのため、通勤時間や昼休みなど隙間時間をフル活用する。仕事帰り、行きつけの居酒屋でビールジョッキを片手にテキストを読むのも楽しいという。

 逢坂さんは2000年、キャンプ中に頭をけがし、医師から「記憶障害が残る可能性がある」との説明を受けた。これまで通り仕事を続けられるか不安が募る中、「自分の能力を確認しよう」と、当時使っていたデータベースの技術認定試験に挑んだ。難易度を上げ合格が続くうちに、受験自体が面白くなった。

 当初は仕事や趣味に関係したものが多かったが、東日本大震災を機にそれが変わった。タンク火災や原発事故がなぜ起こったのか知りたい-と、危険物取扱者、消防設備士、電験の勉強を始めた。次第に多くの「なぜ?」が解決し、そこから受験のジャンルが広がっていったという。

 新しい世界を知ることができるのも魅力の一つ。発破士の試験では、採石場で、導爆線を地中に埋めて実際に点火する実習があった。爆発音とともに吹き飛ばされた石が、退避していた逢坂さんの頭上を飛んでいったことが思い出に強く残っている。

 1月には著書「時短試験対策術 時短で資格試験にらくらく合格」(アメージング出版)を出版した。「できれば10年分の過去問題を集めて分析する」「3回誤った問題は捨てる」「プラン・スケジュールがないところに成功なし。サボりはあらかじめ計画に織り込む」。この20年ほどで確立した試験対策のコツや自らの経験を一冊にまとめた。

 もちろん、うまくいかないこともある。そのときは気持ちを切り替えて前に進む。今月受験した保育士は3度目の挑戦だ。「退職したら学童保育で地域貢献したい。孫と接する時にも役立ちますしね」と逢坂さん。まだまだ好奇心は尽きない。受験のスケジュールは来年末までびっしりだ。

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 <おうさか・せいいちろう 1960年八戸市生まれ。幼少期にむつ市に引っ越し、大湊高、東海大学海洋学部を卒業。1983年にNEC入社。2013年、NECグループの日本電気通信システムに出向し、現在も勤務する。社内では資格試験の講師も務める。初めて取得した資格は小学4年で取った公認スキーバッジテスト4級。川崎市在住>

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