議決済みの「土地無償譲渡」、18年間手続きなし 青森・弘前市 旧岩木町の町有地、合併時引き継がれず

 青森県弘前市は15日、合併前の旧岩木町で2005年に議決された町有地の無償譲渡が約18年間進まず放置されていた-と発表した。合併時に新市の担当者へ引き継がれなかったことなどが原因。

 市によると、旧岩木町は町内の組織から要望を受け、05年12月の議会で町有地を同組織に無償譲渡することを議決したが、所有権移転手続きをしないまま06年2月に旧弘前市や旧相馬村と合併。新・弘前市の担当に引き継いだ形跡は見当たらなかったという。

 17年には所有権移転に必要な手続きなどを同組織から照会されたが、市側も組織側の担当者も議決済みと認識しておらず、移転は進まなかった。

 今年4月に組織側が公文書開示請求を行い、議決済みだったことが5月に判明。8月2日に所有権移転登記を終えた。

 市管財課の工藤浩課長は取材に「手続き完了がここまで長引いてしまい、申し訳ない」と述べた。再発防止のため、庁内の情報共有や業務の進捗(しんちょく)状況の確認、人事異動時の事務引き継ぎを確実に行うとした。

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