電子カルテ情報共有、活用へ法案 政府、25年に提出方針

医療DX推進本部の会議で発言する岸田首相(中央)=6月、首相官邸

 政府は、電子カルテ情報を全国の医療機関で共有し、診療への活用を進めるための法案を2025年通常国会に提出する方針を固めた。患者がこれまでに受けた詳細な診療記録をどの病院や診療所でも閲覧できるようにすることで、データに基づく適切な医療提供につなげる狙い。必要なネットワークを法整備により構築する。複数の関係者が16日、明らかにした。

 政府が進める医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環。健康保険証とマイナンバーカードが一体の「マイナ保険証」を通じてカルテ情報を閲覧する。ただ、マイナ保険証では別人の誤登録が相次ぎ判明するなど、情報漏えい防止が課題。デジタルに不慣れな高齢者らがマイナ保険証へ着実に移行するかどうかも見通せない。

 電子カルテ共有のネットワークの構築は、厚生労働省が所管する法人「社会保険診療報酬支払基金」が進める。政府は全国での運用に向け、必要人員の確保など、同法人の体制を強化するための法整備を25年の通常国会で実施したい考えだ。

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