鉱物調達、脱中国依存へ 政府、経済的威圧を警戒

中国内モンゴル自治区のレアアース採掘場(共同)

 政府がレアアース(希土類)をはじめとした鉱物資源の調達先の多角化を進めている。脱炭素社会に向けて世界で争奪戦が繰り広げられる中、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの機器に欠かせない重要鉱物は中国の存在感が大きい。過度な依存は貿易上の優位な立場を悪用した経済的威圧を招く恐れがあり、特定国に頼りすぎない供給網構築を目指す。

 鉱物はデジタル化にも不可欠な戦略物資として近年需要が急速に高まっている。国際エネルギー機関(IEA)によると、鉱石を採掘する生産や、鉱石から金属を取り出す製錬に関し、EVや風力発電などに使うレアアースは、中国が生産の68%、製錬の90%を占め、いずれも世界首位だ。EV用電池などに必要なリチウムやコバルトも、中国は生産国から鉱石などを輸入し、製錬では高いシェアを握っている。

 中国は今月、半導体材料に使われるガリウムやゲルマニウムの輸出規制を発効させるなど、鉱物を使った揺さぶりをかけており、日本にとって経済安全保障上の喫緊の課題となっている。

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