上場企業3,235社の年間給与 2022年度は10年度以降で最高の620万4,000円 トップはM&Aキャピタルパートナーズの3,161万円

~ 2022年度 上場企業3,235社「年間給与」調査 ~

2022年度の上場企業3,235社の平均年間給与(以下、年間給与)は、620万4,000円(前年比2.4%増)で、前年度(605万4,000円)から15万円増加した。
年間給与は2年連続で前年度を上回り、2013年度から10年間の増加額は44万5,000円。単年度の増加額では前年度の10万円を超え、最大となった。また、前年度と比較可能な3,124社では、7割の2,212社が前年度を上回った。コロナ禍でも円安などで業績が好調だったほか、賃上げ機運も年間給与の押し上げに寄与したようだ。

「民間給与実態統計調査」(令和3年分、国税庁)によると、民間企業の年間給与は508万4,000円(正社員)で、上場企業はその1.2倍、112万円多い。
年間給与のトップは、M&A仲介のM&Aキャピタルパートナーズの3,161万3,000円。前年度(2,688万4,000円)を17.5%上回り、過去最高額を記録した。以下、2位キーエンス(2,279万3,000円)、3位三菱商事(1,939万3,000円)、4位ヒューリック(1,904万2,000円)、5位三井物産(1,783万6,000円)。持株会社を除くトップ10は、総合商社5社、不動産2社、M&A仲介、電機機器、戦略コンサルが入った。経済活動の活性化に向け、業績連動と同時に、企業規模を問わず人材確保のための賃上げが避けられない状況になっている。

※本調査は、2022年度決算(2022年4月期-2023年3月期)の全証券取引所の上場企業を対象に、有価証券報告書の平均年間給与を抽出、分析した。変則決算企業と持株会社は除いた。業種分類は証券コード協議会の定めに準じた。

年間給与 「増加」が10年間で最大の7割

2022年度の上場3,235社のうち、年間給与が前年度と比較可能な3,124社をみると、前年度より増加が2,212社(構成比70.8%)で、7割に達した。一方、減少は889社(同28.4%)、横ばいは23社(同0.7%)だった。2年連続で「増加」が「減少」を上回った。コロナ禍でも円安を背景に輸出企業の業績は堅調で、年間給与を押し上げた。

産業別 電気・ガス業を除く9産業で上昇

2022年度は円安進行、エネルギー価格の上昇などで、電気・ガス業を除く9産業で前年度を上回った。コロナ禍の影響で2020年度は10産業のうち、8産業で年間給与が前年度を下回ったが、2021年度は10産業すべて増加した。
産業別では、最高は電気・ガス業の729万7,000円。3年連続でトップとなったが、前年度の731万7,000円から2万円減少した。以下、建設業719万3,000円(前年度714万1,000円)、不動産業685万1,000円(同677万7,000円)と続く。最低は、小売業の485万円(同471万6,000円)。
年間給与トップの電気・ガス業と最低の小売業の差は、244万7,000円(前年度260万1,000円)で、1.5倍の格差が生じている。
年間給与の伸び率は、最高がサービス業の4.5%増(530万3,000円→554万3,000円)。419社のうち、294社(構成比70.1%)が前年度を上回った。次いで、卸売業の4.28%増(625万4,000円→652万2,000円)、水産・農林・鉱業の4.27%増(588万8,000円→614万円)の順。

年間給与1,000万円以上が66社、10年間で2.6倍に増加

個別企業の年間給与は、トップがM&Aキャピタルパートナーズの3,161万3,000円(前年度2,688万4,000円)。2014年度から9年連続トップで、19年度の3,109万3,000円を上回って過去最高を更新した。
2位はキーエンスの2,279万3,000円(同2,182万7,000円)、3位は三菱商事1,939万3,000円(同1,558万8,000円)、4位はヒューリックの1,904万2,000円(同1,803万2,000円)、5位は三井物産の1,783万6,000円(同1,549万1,000円)。
トップ10は、総合商社が5社、不動産が2社、M&A仲介、電機機器、戦略コンサルが各1社。
年間給与額レンジは、最多が500万円以上600万円未満の955社で、構成比は29.5%を占めた。次いで、600万円以上700万円未満が817社(構成比25.2%)、500万円未満が670社(同20.7%)、700万円以上800万円未満が462社(同14.2%)、800万円以上900万円未満が198社(同6.1%)の順。1,000万円以上は66社(前年度57社)で、このうち、2,000万円以上1社(同2社)、3,000万円以上1社(同ゼロ)だった。
年間給与額500万円以上600万円未満、500万円未満のレンジで社数が前年度から減少した一方、600万円以上のレンジは上昇し、年間給与を底上げした。

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