「傘忘れても…」レンタルで 金大生2人が学内でサービス 企業広告載せ運営費に

レンタル傘のサービスを始めた野村さん(右)と横川さん=金大角間キャンパス

 雨の日に傘を忘れた学生の悩みに応えようと、金大生2人が学内で無料レンタル傘のサービスを始めた。SNS(交流サイト)と連動した管理システムを開発し、傘に学生向けの企業広告を載せて運営費用に充てる。雨や雪が多い金沢は「弁当忘れても傘忘れるな」と言われる土地柄だが、仮に忘れても、快適に学生生活を送れるサービスを提供する。同様の取り組みを他大学にも広げる。

 サービスを始めたのは、物質化学類3年の野村隆太さん(22)=岐阜県下呂市出身=と、経済学類4年の横川弥禄(みろく)さん(22)=長野県安曇野市出身=の2人。「キンガサプロジェクト」と銘打ち、4月から準備を進めてきた。

 きっかけは、金沢の雨の多さだ。2人とも県外出身で、金沢で暮らし始めてから驚いたと言い、傘を忘れて困った経験があった。施設間を雨に打たれながら移動する学生も見てきた。全国で多くの傘が廃棄される現状があることも理由の一つになった。

 今月1日、金大側に許可を得て、角間キャンパスの3カ所と学生寮2カ所に計100本の傘を置いた。雨が降った7日には16人が利用し、「建物間を移動する際に助かった」「また使いたい」などと好評だった。

 傘には企業の採用広告を掲載し、就職活動を控えた学生に地元企業を知ってもらう機会とする。傘の管理には、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使った独自のシステムを作り、返却状況などを確認できるようにした。

 2人は、観光客向けに和傘を使ったサービスも検討している。野村さんは「まずはレンタル傘を金大の文化にしたい」と話した。

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