登竜門で受賞、記念上映 茨城・ひたちなか出身の堀内監督 若者の群像描く長編 18日から都内

作品が上映される映画館でPRする(左から)堀内友貴さん、花純あやのさん、五十嵐諒さん=東京都新宿区

茨城県ひたちなか市出身の映画監督、堀内友貴さん(25)の作品「明ける夜に」が新人監督の登竜門とされる映画祭で映画ドットコム賞など2賞を受賞した。18日から東京都内の映画館で1週間限定で記念上映される。受賞した映画は社会に出るまでの猶予期間「モラトリアム」をテーマに、若者たちの夏の一夜を描いた群像劇。堀内さんは「気楽に見られる映画。登場人物の姿と自分の体験を重ねてもらえたらいい」と自作をアピールする。

受賞したのは、堀内さんが専門学生時に撮影した初の長編作品(95分)。8月31日から9月1日までの一晩を巡る若者の群像が、コミカルで爽やかに描かれている。新人監督の登竜門とされる昨年開催の「第16回田辺・弁慶映画祭」に出品し、映画ドットコム賞とキネマイスター賞の2賞を受賞した。18~24日に映画館「テアトル新宿」(東京都新宿区)で上映される。

堀内さんは長野県生まれ、ひたちなか市育ち。茨城県立水戸商業高を経て、大阪府内の大学で経営学を学び卒業。「自分がやりたいことにチャレンジしたい」と幼少から好きだった銀幕の道を志し、都内の映画専門学校に2年間通いながら、自主製作に取り組んだ。「24歳までだらだらと学生生活をしてきた」という自身を投影するように「モラトリアム」をテーマにした映画を作ってきた。

今回の作品では、海に近い街を舞台に就職活動生やコンビニ店員、元野球部員らが、それぞれの形で忘れられない夏の終わりを迎えていく。

堀内さんは「他の季節と違って夏は8月31日という明確な終わりの日付がある。夏が明けて登場人物が次に進もうとする物語。社会に出て、モラトリアムから卒業しなくてはいけない自分の気持ちを映画にしたかった」と、製作の意図を説明した。

主演の五十嵐諒さん(31)は「脚本を見て主演をやりたくなった。スタッフにとっても一歩を踏み出す作品にしたい」と話す。就活生役の花純あやのさん(25)は「演じようという瞬間がなかった」と、自然体で役になり切れた撮影時を振り返った。

鑑賞の入り方として、堀内さんは気楽な緩いまなざしを期待する。「『ばかだな』と思う登場人物の行動の中にも、共感したり、自分の体験を重ねてもらえたりしたらいい。登場人物に感情移入するのが映画の面白さ」と語った。

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