長崎・創成館 惜敗 8強ならず 第105回全国高校野球選手権大会 第10日

【3回戦、沖縄尚学-創成館】2試合連続で先発して7回1失点と好投した創成館の福盛=甲子園

 全国高校野球選手権大会第10日は16日、甲子園球場で3回戦4試合が行われ、長崎県代表の創成館は沖縄尚学に1-5で敗れ、初の8強入りはならなかった。長崎県勢は4大会連続の3回戦敗退。沖縄尚学は9年ぶりに準々決勝に進んだ。
 沖縄尚学-創成館は、沖縄尚学の東恩納、創成館の福盛の両先発が好投。六回まで0-0で試合が進んだ。均衡が破れたのは七回、沖縄尚学は知花の左中間を破る適時二塁打で1点を奪うと、八回に4点を追加した。創成館も直後に永本の右前適時打で1点を返したが、反撃もここまで。東恩納は初戦に続いて完投した。

◎県内無冠から飛躍の夏

 終盤勝負で沖縄尚学に屈した創成館。善戦及ばず初の8強入りを逃したが、大健闘と言える夏になった。県内無冠の第5シードから長崎大会を制してたどり着いた夢の舞台。「力がない」と評価されてきた選手たちが何度も甲子園を沸かせた。「最高の試合だった」。稙田監督の言葉がチームの成長を物語っていた。
 「いい意味で想定外だった」と指揮官を驚かせたのが背番号1の福盛。長崎大会準決勝、決勝で出番がなかった悔しさも胸に「エースらしく」と初戦に続いて先発マウンドで躍動した。カーブを多投した前回を踏まえて速球を増やし、六回まで内野安打2本を含む3安打無失点。遊撃川﨑のファインプレーなどバックの堅守にも支えられた。
 この夏、自身唯一の失点は0-0の七回。2死一塁から見逃せばボール球のカーブを左中間へ運ばれた。「四球でも良かった。もう一段階低めに投げられなかったのが自分の現在地」。そう悔やみつつ、表情には充実感もにじんでいた。
 課題だった攻撃も8安打を記録。相手と同じ数の快音を響かせた。惜しかったのは四回。1死から向段が左前打で出塁すると、立て続けにエンドランを仕掛けた。得点圏に進めばギアを上げる相手エースへの積極的な作戦。残念ながらすべてファウルとなり、そこから2死二、三塁まで攻めたものの、あと一本が出ずに先制できなかった。
 最終的に4点差がついたが、内容は紙一重だった。「よく成長したし、よくここまで来た。次の世代にとっても“自分たちも”という励みになるはず」。稙田監督の言葉は終始、教え子たちへの感謝であふれていた。


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