長崎・対馬 核ごみ調査促進の請願 特別委員会で採択 市長「さらに熟慮する」

文献調査受け入れ促進を求める請願を賛成多数で採択した対馬市議会の特別委員会=同市豊玉町、市議会議場

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定の第1段階となる文献調査について、対馬市議会は16日、特別委員会を開き、市内の建設4団体が提出した調査受け入れ促進を求める請願を賛成多数で採択した。9月12日に開会予定の市議会定例会で採択される見通し。比田勝尚喜市長は採択を受け、「さらに熟慮する」とコメントした。今後の市長の判断が注目される。
 文献調査を巡っては、賛否などの立場から11団体が計8件の請願を6月に市議会に提出した。建設団体は急速に進む同市の人口減少を背景に調査受け入れ促進を求め、市商工会は議論検討を市議会に要望。一部漁協や市民団体、水産系団体は産業への風評被害や自然環境への悪影響などを懸念し、反対を訴えていた。
 市議会は6月、議長を除く議員18人で構成する特別委を設置。請願提出団体の代表者や、有識者らを参考人招致するなどして議論してきた。8月16日の特別委では建設団体と市商工会の請願を賛成多数で採択した。内訳は委員長を除き、賛成9人、反対7人、欠席1人。反対の請願6件は不採択とした。
 市議会の判断が事実上示されたことで、今後は調査受け入れ是非の決定権を持つ比田勝氏の動向に注目が集まる。ただ同氏は2020年の市長選で、処分場は誘致しない旨を発言。これまでの市議会や定例会見の場でも、調査に慎重な姿勢を示している。
 文献調査(2年程度)は3段階ある選定調査の第1段階で、資料を基に地質や活断層を確認する。受け入れた自治体などには、国が最大20億円を交付。20年に北海道寿都町と神恵内村で初めて始まった。対馬市では以前にも最終処分場誘致の議論が表面化したが、07年に市議会が誘致反対を決議している。

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