「盆船流し」故人送り出す 北茨城・大津漁港

故人の供養のため、新盆を迎えた家々によって海に流される盆船=16日午前7時ごろ、北茨城市大津町

新盆を迎えた家が、故人の霊を船に乗せ海に送り出す「盆船(ぼんぶね)流し」が16日早朝、茨城県北茨城市大津町の大津漁港で行われた。ササや花、ちょうちんなどで飾り付けられた木製の船9隻が浮かべられ、親類らは流れる船を見つめながら、故人をしのんだ。

盆船流しは、同市大津町に江戸時代から伝わる伝統行事で、県指定無形民俗文化財。大津町盆船流し保存会によると、2020~22年は新型コロナウイルス禍で中止が続き、4年ぶりに正式な形で開催した。この日は読経や伝統の「じゃんがら念仏踊り」で供養した後、長さ2メートルほどの盆船を漁船が沖合にえい航した。

同町出身で、亡くなった義理の弟と叔母を見送りに来た東京都の会社員、椎名裕一さん(64)は「海のかなたへ、派手に見送ることができた。今も生きて帰ってくるんじゃないかという気持ち。言葉にできない」と話した。

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