新規求人充足率1割切る 長崎県内建設業、2022年度 人手不足浮き彫りに

県内建設業新規求人に対する充足状況

 2022年度の長崎県内建設業の新規求人(一般)に対する充足率が前年度比1ポイント減の9.9%に落ち込んだことが2日、判明した。長崎労働局によると、10%を下回るのは少なくとも過去12年で初めて。また22年度の高校生(卒業予定者)向け新規求人に対する充足率も同比4.1ポイント減の15.7%。建設業の人手不足が改めて浮き彫りになった。
 県建設産業団体連合会の産学官連携建設業人材確保育成協議会で同局が11~22年度のデータを明らかにした。
 それによると、一般の充足率は12年度に30%、15年度に20%を割った後も減少。22年度は1万1069人の求人に対し充足数は1093人だった。
 一方、高校生向けの充足率は、11年度は70%をえていたが14年度には30.5%まで落ち込んだ。18年度に20%を割り込むも2年後にいったん回復。再び減少に転じ、22年度は989人の求人に対し充足数は155人だった。
 この背景には、一般も高校生向けも年々増加する求人数に、人手が追いついていない現状がある。
 また県立大村工業高の市丸智大校長が県内5工業高の建築系・土木系学科の就職状況を説明。22年度卒業生の県内への就職割合は、建築系(4校)が前年度から19ポイント減の39%。これに対し土木系(3校)は前年度比1ポイント減の55%だった。
 市丸校長によると、建築系は20、21年度は50%台に乗っており、これはコロナ禍で地元志向が強まったためとみられる。だが経済活動が回復するにつれ、22年度はコロナ前の水準に下がったという。一方、土木系は22年度も20、21年度と同水準を維持。市丸校長は「土木系は公共工事が多く発注者自身が週休2日を求めるなど、県内でも処遇の改善が進んでいるからではないか」と話した。
 この日の協議会では、若者の県内就職促進や女性活躍推進、県外人材獲得、情報通信技術(ICT)導入促進などの各種事業を継続することを確認した。

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