鹿児島の先史人、クロウサギ食す 1万7千年前「最古の事例」

アマミノクロウサギ=2022年8月、鹿児島県宇検村

 国の特別天然記念物で絶滅危惧種にも指定されている「アマミノクロウサギ」が1万7千年前から1万6千年前ごろ、鹿児島県・徳之島(天城町など)に暮らしていた先史時代の島民に食べられていた可能性が高いことが同町の下原洞穴遺跡の発掘調査で分かった。同町教育委員会は「クロウサギが食用とされたことを示す最古の事例」と説明している。

 町教委は2016年3月から23年3月、同遺跡を6回発掘した。21年度の調査で、地表から約1.5メートル掘り下げた箇所に直径約1メートルの楕円形の炉跡を発見した。

 炉跡から出土した炭や貝を放射性炭素年代測定することで時代を特定。ともに埋まっていたクロウサギの骨5点のうち2点は焼けており、捕獲したクロウサギを火であぶり、食用にしていたと推測した。

 同遺跡の7千年前ごろの地層でも、同様に焼けたクロウサギの骨が見つかっており、これまでは国内でクロウサギを捕獲し、食用としていたことが分かる最古の例とされていた。

発掘調査で炉跡が見つかった、鹿児島県天城町の下原洞穴遺跡=2019年12月(同町教育委員会提供)

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