倒木に覆いつくされた日本海の漁港、海水浴場… 台風7号で大量に漂着「80年で初めて、かなわん」 兵庫

湾一面に広がる倒木や木の枝のごみ。漁船が出漁できなくなっている=香美町香住区下浜

 台風7号による河川の増水で、海に流れた倒木や木片など大量のごみが、兵庫県香美町香住区の港や海水浴場に押し寄せ、滞留している。船が出漁できなかったり、海水浴客が泳げなくなったりしており、県などが撤去方法を検討している。

 矢田川河口から約600メートル北の香住漁港下浜地区(同区下浜)では、堤防に囲まれた湾一面に流木などのごみが広がる。台風7号の大雨で増水した矢田川から海に流れた木片などのごみが北東の風で打ち寄せられたとみられ、湾口が狭く、沖にも流れずに滞留した。同地区では、小型船約30隻を陸上に係留しているが、スクリューが木くずを巻き込んで破損する恐れがあり、出漁できない状況だ。

 地元の漁師嶋本忠義さん(88)は「下浜に80年住んでるが、こげな(こんな)ことは初めて」と話す。下浜の船はサザエやアワビのほか、シロイカやトビウオなどを取るという。「海がなぎだったら毎日船が出るところだが、全く漁ができん。かなわん」と嶋本さん。県但馬水産事務所は撤去方法を検討している。

 今子浦海水浴場(香住区境)でも、大量の木のごみが押し寄せ、砂浜や水面が茶色で覆われている。近隣の民宿や旅館などでつくる組合が16、17日と清掃に取り組んだが、量が多すぎてどうしようもないという。

 監視員の中村浩二さん(62)は「足をけがしたら危ないし、水も濁っている。海水浴を楽しみに訪れた子どもたちは、こんな状況を見たらがっかりすると思う。できるだけ早く撤去してほしい」と求めた。(長谷部崇)

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