塩焼き、唐揚げ、刺身...新鮮な地元食材堪能 釣った魚を記者が実食 誰もが楽しめる「三依渓流つり場」 #私の好きなとちぎ レジャースポット巡り①後編

 「#私の好きなとちぎ レジャースポット巡り」後編では釣った魚を実食し、さらに「三依渓流つり場」の魅力をお伝えする。

 苦戦の末にやっと釣れたマスとヤマメ計6匹を塩生さんにさばいていただくことにした。「まだ心臓がかすかに動くこともあります」。塩生康幸(しおの・やすゆき)さん(39)の説明を聞きながら、ほんの数十分前まで川で元気に泳いでいた魚ということを実感する。いつもに増して、命をいただく食のありがたみを感じた。

 今回は全て調理をお任せし、塩焼き、唐揚げ、刺し身、天ぷらと唐揚げを一度に味わえる「テンカラそば」を注文した。自分で調理したい場合はバーベキュー場を使える。長丁場の釣りで疲れた体で風を感じながら、炭火でじっくりと焼き上がるのを待つ。のんびりとした時間もまた、この釣り場の醍醐味(だいごみ)だ。

 すっかりペコペコになったおなかが鳴るのをおさえながら待っていると、最初に登場したのはピンク色に輝く刺し身。自分で擦った本わさびをたっぷりと付けると油がのったマスと最高に合う…! 続いていただいた塩焼きは表面が香ばしく焼き上げられ、身はふわふわ。テンカラそばにはマスの唐揚げのほか、フキの葉やカボチャなどの天ぷらがぜいたくに盛られている。自分で釣ったからなのか、きれいな清流で育った魚だからなのか-。どの料理もとてもおいしく感じた。

 他にもマスのふりかけとサンショウのつくだ煮を使った「特製おにぎり」や本わさびそば、甘露煮、テンカラ丼など地元の食材をふんだんに使用したメニューが盛りだくさん。釣りだけではなく、グルメだけでも満喫できそうだ。

 塩生さんと同い年で今年40周年を迎える「三依渓流つり場」。県内唯一の渓流管理釣り場で、営業期間は3月21日~11月30日まで。コンセプトは「釣って楽しい、食べておいしい」。メインは釣りでも、自然や食事、イベントなど楽しみ方の幅は広い。平日は釣り人で、週末は家族連れでにぎわう。県外からの利用者がほとんどで、毎年必ず訪れるリピーターも多いという。夏休みなどは混雑する可能性があるため予約したほうがよさそうだ。

 釣りを通じて男女が親睦を深める婚活イベント「つりコン」は次回で20回目の開催となり、これまでに5組がゴールインした実績もある。

 訪れる前は「釣りはあまりやった事ないけど大丈夫かな…」と心配していた記者たち。気づけば涼しい風が吹く夕方になっていた。時間を忘れ、大自然を感じながら楽しんでいた。「初心者や女性、子どもたちまでみんなが楽しめる場を提供したい」と塩生さん。きっと、多くの来場者を出迎える時に向けてきたのだろう、とびきりの笑顔で話してくれた。

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