たん処置に手間取り、高次脳機能障害に 北播磨総合医療センター、遺族に1千万円支払い和解へ

北播磨総合医療センター=小野市市場町

 北播磨総合医療センター企業団(兵庫県小野市市場町)は17日、運営する同医療センターで2021年5月、たんが詰まった患者の措置に時間がかかり、高次脳機能障害となる医療事故があったと発表した。女性は翌年4月に死亡した。同企業団は、損害賠償として遺族に1千万円を支払い和解する方針。

 同センターによると、患者は小野市の80代女性で、21年4月に甲状腺がんのために入院。手術で気管切開を行い、気管内に管が入った状態だった。

 手術は成功したが、5月2日未明、女性のたんが管の中に詰まり、医師らがたんを除去するのに約17分間かかった。女性は低酸素脳症を発症し、その後、高次脳機能障害と診断され、意識が戻らないまま約11カ月後に死亡した。

 同センターによると、事故当時、当直体制で専門の医師が不在だったといい、電話で指示を受けた当直医らが対応に時間がかかったという。同センターの担当者は「たんの除去が早ければ、高次脳機能障害とならなかった可能性が否定できず、一定の責任があると判断した」と説明。今月31日の同企業団議会で、和解に関する議案を提案する。(長沢伸一)

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