子どものネット依存はどう解決する?私たちが知っておきたいネット依存の対策と効果的な予防とは【図解 依存症の話】

解決をあせらず信頼関係づくりから

長時間のネットやゲームにより、健康面・社会生活に支障が起きていても、本人は自覚に乏しく、その気になればいつでもやめられると思っているケースが多々あります。そのため、依存状態から抜け出すには身近な人の協力が重要です。早期発見や治療は大切ですが、 家族や周囲の人に覚えておいてもらいたいのは「解決をあせらない」ことです。本人が「このままではまずい」と感じていても、注意されると反発を覚えます。 まして、ゲームやネットを遮断するといった強硬手段は本人の自尊心を傷付け、感情の爆発や暴力の引き金になることも。治療を進める上で欠かせない家族や周囲の人との信頼関係も崩れ、回復から遠ざかってしまいます。

依存の背景には、うまく人と話せない、仕事や勉強がつまらないといった悩みを抱えていることがあります。依存の予防や解決には、こうした問題を打ち明けられる人間関係が非常に大切です。生活の立て直しには、本人とよく話し合ってルールをつくること。色々厳しく制限するより、現実的に守れそうな範囲から始めましょう。 また、デジタル端末の制限機能の活用も有効です。子どもの場合だと、家庭内ルールや制限機能を効果的に働かせるには親子の信頼関係が前提。普段からコミュニケーションをとり、子どもを理解する姿勢が依存に陥るリスクの軽減に繋がります。

ネット依存の解決には周りの人の協力が不可欠

依存から回復するためには周囲の理解と協力が不可欠。解決を焦らず、心を開いて話し合える関係づくりから始めましょう。

ネット依存の対策と予防

よい関係をつくる

ポジティブな声かけや挨拶を増やし、会話のできる関係をつくる。

使うときのルールを決める

本人と話し合ってネット使用のルールを決めて守る。

例えば、「22時以降は使わない」「1日3時間まで」「勉強中や食事中は触らない」「寝る前にリビングに置く」など

「引き金」を引かない

ネットやゲームを一方的に遮断すると感情の爆発や暴力の原因に。本人の状態はかえって悪化する。

セルフモニタリングをやってみる

記録すると使用時間やなぜ使い過ぎるのか、そのときの心理状態などを客観視することができる。

例えば、「今日は何時から何時まで使ったか」「使うのをやめたらどんな気持ちになったか」「どうしてそのような気持ちになったか」「家族や友人との関係はどうなったか」など

出典:『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』大石 雅之

【書誌情報】
『短時間でしっかりわかる 図解 依存症の話』
大石 雅之 著

特定の物質や行動をやめたくてもやめられない病の「依存症」。スマートフォンの普及や時代の変化にともない、依存症の種類も多様化しました。「スマホ依存」「ゲーム障害」などの言葉は、テレビやインターネットのニュースで目にする機会も増え、社会問題として注目されています。依存症は一度症状が出てしまうと完治が難しい病気です。本書はその依存症について具体例を交えながら、依存する人としない人の違いや依存症の進行の仕方、依存症が起こるメカニズムなどを、メンタルマネジメントや環境、生活習慣の観点から図解でわかりやすく解説。

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