海洋冒険家の堀江謙一さん、太平洋横断したヨット寄贈 兵庫・西宮の母港へ3艇目「僕の『ラッキーハーバー』」

一般公開イベントで堀江謙一さん(右)と話す子ども=西宮市西宮浜4、新西宮ヨットハーバー

 海洋冒険家の堀江謙一さん(84)=兵庫県芦屋市=が、世界最高齢の83歳で太平洋単独無寄港横断したヨット「サントリーマーメイド3号」を、新西宮ヨットハーバー(西宮市西宮浜4)に寄贈した。一般公開イベントも開かれ、訪れた人たちは堀江さんとの会話や船室での記念撮影を楽しみ、長い洋上生活へ思いをはせた。(浮田志保)

 堀江さんは23歳だった1962年、初代マーメイド号に乗り込み、世界で初めて単独無寄港の太平洋横断を達成。82年には世界一周を成功させた。2022年3月27日(日本時間)には、米サンフランシスコを出航し、最初の挑戦と逆の航路で日本を目指した。6月4日、約8500キロの航海を終えて紀伊水道に到着。冒険は8月24日付でギネスに認定された。

 サントリーマーメイド3号は、初代と同じ5.83メートル(全長6.05メートル)で、今後はセンターハウス前の桟橋に帆を外した状態で係留する。堀江さんが母港とする同ハーバーには、これまで寄贈した2艇が置かれているが、「冒険を終えてここへ帰ってきた。まさに僕の『ラッキーハーバー』」と、今回も寄贈を決めたという。

 13日に初めて開かれた一般公開イベントには、多くの親子連れらが訪れた。堀江さんの航海記で、ベストセラーにもなった「太平洋ひとりぼっち」を読んでいたという小学4年の男児(10)=西宮市=は船内の見学を終えた後、堀江さんと直接話した。「堀江さんに会うと夢が終わりそうだと思っていたけれど会えてよかった。船に乗る夢が大きくなり、いつかかなえたい」と目を輝かせた。

 同ハーバーでは今後、航跡を紹介するパネルを設置し、船室に入るなどの体験型展示も検討するという。堀江さんは「若い人に見てもらい、海やヨット、そして夢に向かって挑戦する素晴らしさを感じてほしい」と期待を込めた。

 この日はモーターボートでのショートクルージング体験イベントも実施された。参加者は潮風に吹かれながら海上から街を眺め、約30分間のクルージングを満喫した。家族で参加した女児(4)=西宮市=は「帽子が飛んでしまいそうだったけど、風が気持ちよかった」とはにかんだ。

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