“全国的にも事例少ない”水害での「災害関連死」認定 なぜ?専門家に聞く(静岡県)

静岡市は17日、2022年の台風15号の被災後に亡くなった高齢者3人について、災害関連死に認定したと発表しました。水害での災害関連死の認定は、全国的にみてもあまり事例がないといいます。その背景とは?

2022年9月に発生した台風15号。記録的な大雨により、静岡市では浸水被害や断水が相次ぎ、多くの市民の生活に影響を及ぼしました。

静岡市は17日、被災後に亡くなった清水区の70代から80代の男女3人について、災害関連死に認定したと発表しました。80代の女性は断水の影響で水分補給を控えたことなどで持病が悪化し亡くなり、70代の男性は被災後の生活環境の変化による身体的・精神的負担で死亡、また別の80代女性については、持病はありませんでしたが、被災した翌日に死亡し、災害関連死に認定されたということです。

静岡市が、台風15号による災害関連死を認定するのは初めてで、3人の遺族には災害弔慰金が支給されます。

台風による水害や断水での災害関連死の認定は、全国的にみてもあまり例のないケース。県弁護士会の諏訪部 史人弁護士に、今回の認定について話を聞くと・・・

(県弁護士会 諏訪部 史人弁護士)

「災害関連死の認定につながったのは、市の担当者が1万軒に及ぶ被災者の訪問をして、生活の実情を把握したという背景がある。非常に数の少ない市の担当者が、熱心に1万軒以上を訪問したことは敬意を表したい」

諏訪部弁護士は「市の担当者の熱心な行動が、災害関連死の認定につながった」と静岡市の対応を評価したうえで、大規模な水害に対する経験値の少なさ、組織体制の脆弱さについては、改善の余地が大きいと話します。

(県弁護士会 諏訪部 史人弁護士)

「救える命を救うという観点では、もっと早い段階で、被災者の実情を把握するために動く必要がある。実際に(静岡市の対応によって)救った命もあると思う。一概に市の対応を責めるということではなく、今の状態をどう改善していくのかという視点が大事。(水害で)災害関連死が起きるという問題意識は、必ずしも持っていなかったと思う」

諏訪部弁護士は水害でも避難環境の変化などによって、大きなストレスを受け、災害関連死の危険性があるということを再認識する必要があると話しています。

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