弘前厚生学院、2024年度閉校 少子化で学生確保困難 「偕行社」収益も伸び悩む

学生募集を停止し閉校することが決まった弘前厚生学院の校舎
募集停止について説明する弘前厚生学院の鳴海学院長=弘前市御幸町

 保育士や介護福祉士などを養成する弘前厚生学院(青森県弘前市御幸町)が、2024年度から学生募集を停止し、同年度の卒業生を最後に閉校することが18日分かった。少子化により学生の確保が難しくなったことや、運営法人が所有管理している国重要文化財「旧弘前偕行社(かいこうしゃ)」の事業収益が新型コロナウイルス禍で伸び悩んだことを理由に、経営継続は難しいと判断した。

 7月31日に運営法人の理事会を開き決定した。閉校に伴い、運営法人も25年3月以降に解散する。解散後の偕行社の管理運営方法については今後、国や県、市と相談して決める。

 同学院は1942(昭和17)年、同市紙漉町に開設した養護教諭を育てる「弘前養護訓導養成所」が前身。これまでに4877人の卒業生を送り出した。現在はこども学科(2年制)、介護福祉科(1年制)の二つの学科に計約60人が在籍している。入学希望者の減少を受けて、2022年度から段階的に入学定員を減らしていた。

 13年から20年にかけては、老朽化した偕行社の全面的な保存改修工事に取り組んだ。国、県、市の補助金を活用したが運営法人の負担は大きく、改修後に見込んでいた観光やイベントでの活用もコロナ禍で伸びなかった。

 18日、取材に応じた鳴海春輝学院長は「歴史ある学校を残したい思いは常にあり、苦渋の決断。自助努力でさまざま取り組んできたが、われわれの力では学校の継続は困難だという判断になった。偕行社については関係機関と相談を進め、市民の宝としてこれからも活用されていくことを望む」と話した。

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