インテル傘下入りならず 半導体企業のタワー社、魚津・砺波に工場

インテルの傘下入りが見送られたタワーパートナーズセミコンダクターの砺波工場

  ●米中対立が影響か

 世界最大級の米半導体企業、インテルは18日までに、半導体の受託製造を手掛けるタワーセミコンダクター(タワー社、イスラエル)の買収を断念した。タワー社は魚津、砺波両市に半導体製造工場を持つタワーパートナーズセミコンダクター(TPSCo、魚津市)の大株主で、TPSCoもインテル傘下に入るとみられていた。半導体分野の米中対立が影響し、中国の規制当局の承認を得られなかった可能性がある。

 インテルは昨年2月、約54億ドル(約7900億円)でタワー社を買収することで合意したと発表し、1年後に手続きを終える予定だった。魚津、砺波両市では「工場がインテルの傘下になれば拡張や半導体産業の一層の集積が進む可能性がある」と期待する声があった。

 タワー社は16日、インテルと締結した買収契約を解除することで合意したと発表した。契約解除について「必要な規制当局の承認に関して何の返答も得られなかった」とし、具体的な国名は挙げなかった。インテルはタワー社に3億5300万ドルの違約金を支払う。

 インテルは半導体の製造受託事業の拡大のため、タワー社の買収を目指していたとされる。

 TPSCoは魚津市東山に魚津工場、砺波市東開発に砺波工場を置く。スマートフォンや自動車、高性能カメラなどに使われる半導体を製造し、国内外の企業と取引がある。

 インテルの買収契約解除について、魚津市商工観光課の担当者は「世界企業による買収に期待はしていたが、魚津などの工場が縮小される影響はないのではないか」と予想した。

 砺波市商工観光課の担当者は「企業間の契約に関することであり、詳細はまだ分からない。砺波工場の事業展開に影響があるのか状況を見ていきたい」と話した。

 ★タワーパートナーズセミコンダクター(TPSCo、魚津市) パナソニックの旧半導体製造部門を母体とする。同社とタワーセミコンダクター(イスラエル)の合弁会社として2014年に設立された。タワー社が株式の51%、ヌヴォトンテクノロジージャパン(京都府)が49%を保有する。従業員数1820人(23年3月現在)。

インテルの傘下入りが見送られたタワーパートナーズセミコンダクターの本社・魚津工場

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