新型コロナ変異率、インフルの24分の1 長崎大・安田教授のグループが解析

 新型コロナウイルスは、A型インフルエンザウイルスに比べ変異率が約24分の1と低いことを、長崎大高度感染症研究センターの川崎佳子さん(医学部5年)ら安田二朗教授のグループが明らかにした。安田教授は「研究を進めて次に出現する変異株の特定が可能になれば、流行前に対応ワクチンの接種が可能になり、感染拡大の制御が期待できる」と話す。
 変異株の出現が流行の繰り返しや感染拡大の主な要因とされる。新型コロナはパンデミック(世界的大流行)を起こし、次々に「デルタ」「オミクロン」などの変異株が出現した。
 研究では主なウイルス増殖部位の一つ、人間の気管支上皮由来の細胞を使用。両方のウイルスの培養を15回繰り返し、遺伝子上の変異を詳細に解析した。その結果、新型コロナの変異率はA型インフルエンザの約24分の1であることが分かったという。安田教授によると、インフルエンザは複製ミスを起こしやすい上に、複製ミスを修復する校正機能もない。一方、コロナウイルスには校正機能があるとされている。
 新型コロナの変異はA型インフルエンザに比べて起きにくいことが確認されたが、安田教授は「感染者が多く、流行が長期化する状況では変異株は次々に出てきてしまう。感染の機会を減らすことが重要だ」と話した。
 今回の研究論文は、国際的なオンライン学術誌サイエンティフィック・リポーツに今月11日掲載された。


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