彦根城築城前の500年前の彦根、ジオラマで再現 鉄道模型用のパーツ使う

500年前の彦根城築城前の地域の様子をジオラマで子どもたちに説明する髙橋さん(左)=滋賀県彦根市長曽根町・町民会館

 彦根城西部にある滋賀県彦根市長曽根町の住民でつくる長曽根歴史保存会(北村恭弘会長)が、約500年前の築城前の地域の様子をイメージしたジオラマを作った。地元の町民会館で子どもたちに地域の成り立ちを伝えるほか、希望者にも見学してもらう。

 住民らは、まちの歴史をまとめた「長曽根郷土史」を発行するなど活動してきた。今回のジオラマは、多くの人にさらに地域の歴史に関心を持ってもらおうと、元小学校教諭の高橋滋治さん(65)が中心となり、2月から製作を開始。古地図を参考に鉄道模型のパーツなどを使い、約3カ月で仕上げた。

 120センチ×90センチで実際の3千分の1のスケールという。高橋さんによると、約500年前の室町時代末期―安土桃山時代、彦根山の山麓に広がるこの地域は千人ほどの人々が平和に暮らす農村地帯で、豊かな田園風景をイメージした。

 彦根山には彦根城が築かれる前にあった八つの寺を再現。麓には、城の堀にも利用された善利川(現芹川)から続く大きな沼や細い川が流れ、北側には後に佐和山城が築かれた佐和山も配した。琵琶湖岸の松原は湖北地方からの米を京に送る中継地だったとし、倉などを並べた。

 高橋さんは「関ケ原の戦い後に彦根城ができ、一帯の地形や社会は大きく変わった。ジオラマを通して、先人の暮らしの積み重ねが現代につながっていることを学んでほしい」と話している。

© 株式会社京都新聞社