「無罪弁論」で佐世保北が初優勝 高校生模擬裁判選手権 長崎予選 10月に本選

高いレベルの争いを制した佐世保北高=長崎市万才町、長崎地裁

 高校生による「長崎県・佐賀県合同模擬裁判選手権」(両県弁護士会主催)の長崎予選が19日、長崎地裁で開かれた。5校が参加し、弁護人役として被告人の無罪を主張する「弁論」を披露。現役の裁判官や検察官らによる審査の結果、県立佐世保北高が初優勝し、佐賀県代表と対戦する本選(10月14日・長崎地裁予定)の出場を決めた。
 同選手権は司法の世界に関心や親しみを持ってもらうことなどを目的に、長崎地裁や長崎地検などの協力を得て、2015年から毎年開催(20年を除く)。新型コロナウイルスの影響で4年ぶりに法廷で開いた。参加校は他に、長崎南山高、青雲高、海星高、県立諫早高。
 模擬裁判は、高校の男性教諭が公園のトイレから出てきた際、持っていたかばんからビニール袋に入った覚醒剤が見つかり、覚醒剤取締法違反(所持)で現行犯逮捕、起訴されたという設定。
 各校の生徒たちは、捜査報告書などを基に、先にトイレに入った男からかばんに入れられた可能性が高いと主張。図や写真などを用いながら目撃証言の信ぴょう性の低さなどを丁寧に説明し、「男性教諭が覚醒剤を所持している認識はない」との結論を導いた。
 5回目の挑戦で初の頂点に立った佐世保北高の5人は「客観的証拠と証言が合致するかどうかを意識した」「発表の仕方に不安はあったが優勝できてうれしい」などと喜んだ。本選では同じ設定の事案で、検察官役として佐賀県代表と対戦するため、「(弁護人役だった)自分たちを倒すつもりで頑張りたい」と意気込みを述べた。
 参加校には県弁護士会が弁護士を派遣し、事前指導も複数回している。同会法教育委員会の鷲見賢一委員長は「法律家に実際に触れ、仕事を知ってもらえる貴重な機会。長崎市内以外の高校が初めて優勝するなど活動も徐々に広がってきている」と手応えを語った。  

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