越前がに前面に打ち出した飲食店が福井市の浜町エリアに 「美くに」が県都再生ファンド活用

県都まちなか再生ファンドの浜町エリア第1号として事業採択された「越前がに美くに浜町別邸」の外観イメージ

 福井県と福井市が最大24億円を拠出する「県都まちなか再生ファンド」のうち、本年度から受け付けが始まった同市中央3丁目、通称浜町エリアの第1号として、同市で飲食店を展開する「美くに」が事業採択を受けた。越前がにを前面に打ち出した店舗として年内の開業を目指す。周辺ではほかにもファンド活用の相談が複数進んでおり、北陸新幹線開業を捉えた魅力の磨き上げが期待される。

 明治時代に高級料亭街として栄えた浜町エリアは、昨年策定されたまちづくり指針「県都グランドデザイン」で、独特の風情を残す町並みの魅力向上プロジェクトが盛り込まれた。ファンドでは、新築・改修工事費の3分の2、上限6千万円を補助するエリア専用メニューを設け、民間の整備を後押しする。

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 高木中央1丁目で和食・鉄板料理店を展開する美くにが、和食や越前がにを提供する2号店として出店する。敷地面積約150平方メートルの空き家スペースを活用し、2階建て延べ床約180平方メートルの店舗に建て替える。カウンター6席と個室3部屋、宴会席を備え、天ぷらの揚場やゆで釜が見えるオープンキッチンとして臨場感を演出する。

 小幡美治社長(58)は「人口減少の中、新幹線開業による観光客が見込める駅周辺エリアは魅力的。高いレベルのお店がそろう浜町の一員としてレベルアップを図りたい」と強調。「ファンドのおかげで出店にこぎつけることができた。活用されていない古い建物も多いので、より魅力的な町並みへブラッシュアップが進めば」と期待した。

 学識者らでつくるファンド運営委員会によると、浜町エリアでは、複数の活用の動きがあるという。事務局を務めるまちづくり福井の担当者は「料亭街としての雰囲気の残る浜町エリアは関心も高い。活用の動きを加速させていきたい」と話した。

 ファンドではこのほか、駅前電車通り南側一帯や新栄商店街、愛宕坂エリアなどでの再整備支援メニューを設け、随時相談を受け付けている。問い合わせはまちづくり福井=電話0776(30)0330。

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