朝鮮人虐殺、真相問う韓国 関心低調も名誉回復の思い切実

ソウルの日本大使館前で、関東大震災の朝鮮人虐殺を巡り抗議する市民団体=1日(共同)

 【ソウル共同】関東大震災から9月で100年となるのを前に、混乱の中で虐殺された朝鮮人を追悼する動きが韓国で起きている。「朝鮮人が放火した」「毒を流した」との流言が発端となった事件の経緯を解明し「祖先の名誉を回復したい」との思いが強い。国会では真相究明を図る法案も審議中だが、日韓協力を優先する尹錫悦政権下で進展は不透明。社会の関心も低調なのが現状だ。

 「当時、放火や暴動が起きていたのかどうか私は知りません。ただ、本質は多くの無関係な人が虐殺された問題でしょう?」

 中部栄州の権在益さん(66)は訴える。祖父は震災直後、群馬県の警察署に保護された他の朝鮮人と共に、押しかけた民衆に殺されたとされる。

 数年前から被害を訴える活動を始めたが、遺族会はほぼ休眠状態。親族らの関心も低い。虐殺事件を巡り必ず流言の内容が紹介されることも複雑だ。「いくらデマでも汚名と結び付けられるのが嫌で沈黙する人は多い」

 韓国国会では3月、事件を調べる委員会設置などを柱とする特別法案が提出された。年内成立を目指している。

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