琵琶湖で灯籠流し「平和の大切さ感じる経験に」 大津

琵琶湖に浮かぶ、戦没者への思いを込めた灯籠(大津市)

 灯籠流しや竹灯籠で戦没者を追悼する催しが19日夕、大津市本丸町の膳所城跡公園で営まれた。灯籠流しでは戦没者の名前が記された灯籠を近くの琵琶湖に浮かべ、参加者が戦争を繰り返さない決意と平和への願いを新たにした。

 戦争の記憶を継承する一助にしようと、市遺族連合会が昨年から開催している。15、16日に実施予定だったが、台風7号接近のため延期していた。

 同連合会の会員らが午後6時ごろから、ろうそくに火をともした灯籠約80個を船で湖面に並べた。日が暮れるにつれ、湖面を照らす柔らかな光が浮かび上がり、集まった約30人の遺族らがじっと見入っていた。

 今回初めて、同公園内にある戦没者英霊塔の周囲に電球を入れた約200個の竹灯籠を並べた。竹灯籠の前で手を合わせる遺族の姿もあった。

 祖父を戦争で亡くした女性(37)=大津市=は6歳の長男や2歳の長女らと参加。「子どもたちはまだきちんとは理解できないだろうが、平和の大切さを感じる経験の一つになれば」と話した。フィリピンのルソン島で父親が戦死した同連合会の服部清和会長(80)は「後世の子どもたちが自分のようなつらい思いをしないためにも、戦争の記憶を伝え残していきたい」と語る。

膳所城跡公園の戦没者英霊塔の周囲に並べられた竹灯籠

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