東日本大震災の復興に伴走してきた車がある。被災した大槌町小鎚の佐々木健さん(66)に贈られ、12年間走り続けてきたSUBARU(スバル)の軽バン。老朽化で廃車が決まっていたが、本社(東京)が経緯を知り保存されることに。岩手スバル自動車(盛岡市)が整備し、各地で展示される予定だ。震災の記憶と復興支援の縁を伝えるべく、関係者の思いを乗せて新たな道を進み始めた。
車体やワイパーにさびが浮く1995年式の「サンバーディアスクラシック」。「大槌がんばれ」「夢を心にまっすぐに」など支援者の応援メッセージが埋め尽くす。時間の経過で消えてしまったものもあるが500人以上が書き込み、かつて秋篠宮さまも「希望」と記したという。
岩手スバル自動車の間野英雄社長らが19日、同町を訪れ、キャリアカーに積み込んだ。佐々木さんは別れ際に「Just go with it!」と書き込み「なるようになる」と穏やかな表情で見送った。