9月5日に営業終了 ダイワロイネットホテル富山

9月に営業終了するダイワロイネットホテル富山=富山市荒町

  ●ホテル、駅前へ集約進む

 富山市荒町のビジネスホテル「ダイワロイネットホテル富山」が9月5日、営業を終了する。施設の老朽化と、富山駅前の系列ホテルに従業員を集約するためで、19年間の運営に幕を閉じる。富山駅前でホテル進出が相次ぐ中、利便性の高い駅近辺と比べ集客力に課題があることに加え、新型コロナウイルス流行が追い打ちになったとみられる。

 運営するダイワロイネットホテルズ(東京)によると、荒町のホテルはビジネス客をターゲットに全国展開する「ダイワロイネットホテル」の1号店で、2004年4月に開業した。シングルルームを中心に227室を備え、ビジネス客を中心に利用があった。

 同社は2019年4月、駅前に204室を備える「ダイワロイネットホテル富山駅前」(富山市桜町1丁目)をオープンした。荒町のホテルで勤務する従業員は営業終了後に駅前のホテルに移る。跡地について担当者は「所有者が違うため分からない」と話した。

  ●繁華街の回復遅れも影響か

 不動産鑑定士の宮川裕司さん(58)は「駅前のホテルに客を吸い取られた格好だ」と指摘する。2015年の北陸新幹線開業後、駅周辺では18年の東横イン富山駅新幹線口Ⅱ、22年のホテルJALシティ富山、ホテルヴィスキオ富山などホテルの開業が相次いだ。駅から離れた荒町周辺は集客に苦戦していたとみられる。

 ホテルは市内電車の荒町電停前の交差点角に立地し、繁華街の桜木町や総曲輪商店街、飲食店が近いが、コロナ禍で中心部が衰退した影響も大きい。21年3月には桜木町の富山第一ホテルが閉館している。宮川さんは「今は駅前が活況で、かつての中心部があおりを食っている」と話した。

 市内のある不動産業者は荒町のホテルについて「場所は悪くないが、コロナ禍の飲食需要の低下や回復の遅れが響いた。人手不足やコスト増も関係しているだろう」と話した。

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