「涸(か)れない池」干上がる 高岡・国宝勝興寺の七不思議

ほぼ干上がってしまった「水の涸れない池」=高岡市伏木古国府の国宝勝興寺

  ●猛暑と雨不足原因か

 高岡市伏木古国府の国宝勝興寺に伝わる七不思議の一つとして知られる「水の涸(か)れない池」が、ほぼ干上がっていることが21日、分かった。勝興寺文化財保存・活用事業団によると、池が干上がるのは約10年ぶりで、連日の猛暑や雨不足が影響しているとみられる。事業団の高田克宏専務理事(66)は「寺の言い伝えとはいえ、それも覆すような異常な気候が続き、驚いている」としている。

 七不思議の一つ「水の涸れない池」は、池の隣にある経堂に施された彫刻の竜が、池の水が枯れないように見守っており、火災時には池の水を使って火を消すと伝えられている。

 21日現在、池の水はほとんど干上がり、水位数センチの水たまりのようになっている。境内で、中国から訪れた知人を母親とともに案内していた高森心也(しんや)君(高岡市高陵小3年)は「2カ月前、校外学習で来た時にいっぱいあった水が無くなってしまい、どうしたんだろうと思った」と話した。

 富山県内では7月12日夜、線状降水帯が発生し、激しい雨が降った。しかし、気象庁のデータによると、高岡市伏木では同20日から8月14日までほぼ降水を観測しておらず、7月23日以降は毎日、猛暑日や真夏日が続いている。

 勝興寺文化財保存・活用事業団の高田専務理事によると、池の水はおよそ1週間前からほぼ干上がっている。境内の地下には二上山からつながる幾つもの水脈や湧き水があるが、池の水の供給が蒸発に追いついていないと推測される。

 高田専務理事は「辛うじて池に水たまりがある。これから雨が降ってくれれば、元の状態に戻ると思う」と話した。

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