私たちのまちに「世界に誇る星空」 喜び沸く福井県大野市、地元小学生に笑顔キラリ

福井県大野市南六呂師区が星空保護区に認定され、くす玉を割るなどして喜ぶ関係者=8月21日、福井県の大野市役所

 「星空の世界遺産」と呼ばれる米NPO提唱の星空保護区に、福井県大野市南六呂師区が認定を受けた8月21日、同市役所で記念セレモニーがあり、関係者は喜びに沸いた。来春の北陸新幹線県内延伸や2026年春の中部縦貫自動車道県内全線開通を見据え、世界に誇れる美しい星空の魅力を発信し観光誘客などにつなげようと、決意を新たにした。

 セレモニーで石山志保市長が、アジア初のアーバン・ナイトスカイプレイス部門での認定取得を発表すると、集まった約60人の出席者は歓声を上げ、くす玉を割るなどして祝った。

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 「南六呂師の星空が、大野が、世界に誇れるものになった」と胸を張るのは星空観察会を市内で開く天文愛好家グループ「オヤット天文クラブ」の橋本恒夫会長(51)。「今後も定期的に観察会を開き、市民みんなで楽しめるよう星空を案内したい」と意気込む。

 星空のPR活動には地元の阪谷小学校児童も取り組んできた。6年の女児(12)は「ふるさとの星空の美しさが認められてうれしい。南六呂師の星空は周りに高い建物がなく全面に広がっているところが魅力。もっと多くの人に見てもらいたい」と笑顔を見せた。

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 認定に向け市やパナソニックと連携し、屋外照明の光害(ひかりがい)対策に取り組んだ福井工業大学の中城智之教授(49)も感慨深げ。今後も照明の影響などに関する研究を通じ「(星空の美しさを守るための)建設的な話をすることができると思う」と引き続き協力を誓う。

 南六呂師区の小林雅信区長(64)は喜びをかみしめ、美しい星空を「すごく恵まれていること。当たり前のようで当たり前ではない」と強調。「(認定を)一過性のものにしてはいけない」と、星空を生かした地域活性化に一層力を入れるとした。

 北陸新幹線県内延伸や中部縦貫自動車道の県内全線開通などを控え、市は観光振興に力を入れる。市観光交流課の加藤嘉一課長は「保護区に認定された星空を大きなPRポイントとし、中京方面や首都圏での観光誘客を進めたい」とした。

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