立花の奉納「無事できてよかった」 京都・亀岡の大井神社

立花が飾られた大井神社の拝殿(亀岡市大井町)

 府指定無形民俗文化財の伝統行事「立花(りっか)」の奉納が19日、京都府亀岡市大井町の大井神社であった。当番となった地元6地区の住民が口伝で作った立花を拝殿に並べ、参拝客らは伝統美を鑑賞していた。

 同神社の花祭(はなまつり)の一環。立花は、松葉を挿した枝を古木に取り付け本物の松のように組み立て飾る。室町時代の座敷飾りとして発展した立て花や仏に備える仏花に由来し、華道大成前の形式を残す。同神社では、江戸時代初期から氏子が奉納を続ける形が全国で唯一続いているという。

 神前に供える立花を担当した北金岐地域では40~80代の住民10人が前日から松の木を切り出すなどして制作を開始。松竹梅を取り込んだ立花を完成させ、この日午後5時ごろ、本殿に向き合うように拝殿へ並べた。北金岐宮総代の渡邉源士さん(75)は「後継者が課題ですが、無事奉納できよかった」と話していた。

 今年は盆踊りも4年ぶりに開催され、境内には約30店の露店も並んだ。浴衣姿などで集った住民らは本殿に手を合わせるとともに、新型コロナウイルス流行前の「いつも通り」に戻った夏の夜のひとときを楽しんでいた。

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