ウクライナ徴兵逃れ、数万人か 汚職深刻、厭戦懸念も

徴兵事務所に足を運ぶよう呼びかける、ウクライナ国防省が始めたキャンペーンのポスター(同省提供・共同)

 ロシアの侵攻を受け、総動員令が出ているウクライナで、徴兵逃れと関連した汚職が深刻化している。高額の賄賂を払い数万人規模の男性が国外に出るなど違法に動員を回避しているとみられる。侵攻が長期化する中、厭戦機運につながりかねない事態に、ゼレンスキー大統領は全州の徴兵責任者を解任する荒療治に乗り出した。

 ウクライナでは18~60歳の男性の出国が原則禁止されている。動員対象者は全国に200以上ある地域徴兵事務所の呼びかけに応じ、軍務が可能かどうかを調べる健康診断を受けることが義務付けられている。

 昨年2月の侵攻直後から、重い疾患や精神障害と装った診断書を偽造し、兵役免除証明書(通称ホワイトチケット)の取得をあっせんする「脱徴兵ビジネス」が横行した。費用は5千~1万ドル(73万~146万円)程度が一般的とされている。

 発覚すれば刑事罰に問われる可能性があるものの、当局の追及の手は緩かった。現地メディアの記者は「当時は軍入り志願者が多く、人材不足の懸念がなかった」と解説した。

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