自衛隊ハラスメント6割相談せず 不利益懸念、特別監察1325件

ハラスメントに関する特別防衛観察ポイント

 防衛省は18日、全自衛隊を対象にしたハラスメントに関する特別防衛監察の結果を公表した。昨年9月に監察を始め、被害申告を受け付けた結果、パワハラやセクハラなど1325件の申し出があり、このうち6割以上が、内部の相談員や窓口を活用しなかったと回答した。理由は「相談しても改善が期待できない」が最も多く、かえって不利益を受けるなどの懸念が噴出した。相談した人からも同様の不満が出た。

 監察結果では、ハラスメントは起きるとの前提に立ち、被害が生じた初期段階から厳正に対処する原則を確立する必要があると指摘した。防衛省の有識者会議も同日、組織風土の改革が不可欠と強調した提言をまとめた。

 特別防衛監察は、元自衛官五ノ井里奈さんが性被害を訴えたことなどを踏まえ、防衛相直轄の防衛監察本部が実施した。

 監察結果によると、1325件の64.2%に当たる850件で「相談員や窓口に相談したことがない」と回答。主な理由は「改善が期待できない」、「相談員や窓口に思い至らなかった」、「相談しづらい」などだった。

防衛省幹部(手前左)にハラスメント防止に向けた提言を手渡す有識者会議の座長ら=18日午前、防衛省

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