Moto3:佐々木歩夢、6戦連続の表彰台「残りのチャンピオンシップを戦う上で重要なこと」/第10戦オーストリアGP

 8月20日、2023年MotoGP第10戦オーストリアGP Moto3クラスの決勝がレッドブル・リンクで行われ、佐々木歩夢(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)は3位表彰台を獲得した。

 佐々木は今季初優勝こそまだないものの、サマーブレイク前の前半戦では第5戦フランスGPで今季初表彰台を獲得して以来、今大会まで連続で表彰台に上がり続けている。そんな佐々木だが、今大会は初日からやや苦戦を強いられているようだった。

 初日はマシントラブルを抱えていたようで、自己ベストは1分42秒179でトップと0.956秒差の総合7番手だった。2日目のFP3では、自己ベストを大きく更新する1分41秒334をマークするが、予選Q2ではさらにタイムを更新できず8番手にとどまった。

Moto3:佐々木歩夢(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)/2023MotoGP第10戦オーストリアGP

「昨日からある問題と格闘していました。FP3でようやく問題の原因がはっきりし、予選ではもっと良くなると思っていましたが、マシンの問題はまだ解決されておらず、とにかくベストを尽くしました」

「もしかすると0.2秒は上回れたかもしれません。フィーリングはあまり良くなかったですが、ペースはまだ良かったです。バイクのフィーリングは良かったので、8番手は悪くないと思います。ポジティブに捉えていますし、レースには自信を持っています」

 決勝に意欲を見せていた佐々木は、オープニングラップから落ち着いたレース運びを見せる。先頭集団の中で、早々に6番手にポジションを上げると、ファステストを連発させていく。

 そんななか、4周目にはトップ集団を走るジャウマ・マシア(Leopard Racing)がマシントラブルか、スロー走行。その際に佐々木と少し接触があったようだが、危機一髪のところで転倒は免れるも、トップ3台とややギャップが広がる形となってしまう。

Moto3:佐々木歩夢(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)/2023MotoGP第10戦オーストリアGP

 しかし、佐々木の前を走る4番手のダビド・アロンソ(GASGAS Aspar Team)が徐々に前とのギャップを詰めていき、9周目にはトップ3台に追いつき、先頭集団は再び5台で構成される。その後アロンソが一気にトップに立つが、転倒を喫してしまい、その隙に佐々木は3位へポジションを上げる。

 佐々木は慎重に周回を重ね、残り7周でトップに立つ。しかし、ダニエル・オルガド(Red Bull KTM Tech 3)とデニス・オンジュ(Red Bull KTM Ajo)らも一歩も引かず、コーナーごとに目まぐるしく順位が入れ替わる展開となった。

 ファイナルラップに入ると、さらにトップ争いがヒートアップする。再び佐々木がトップに躍り出て、各コーナーに侵入していくが、最終コーナーあたりでオルガドに少し押し出される形となってしまった。そのため、佐々木は少しはらむ形となり、3位でチェッカーを受けた。決勝後に佐々木は次のように振り返った。

Moto3:佐々木歩夢(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)/2023MotoGP第10戦オーストリアGP

「今週末は金曜日と土曜日にいくつか問題があり、その原因が判明したのは土曜日の午後でした。チームは今日のために問題をほぼ解決してくれました。レースでは、マシンはまだ完璧とは言えませんが、昨年のセットアップを参考にし、フィーリングはかなり良くなっていました。最終ラップはベストを尽くしましたが、残念ながら最終コーナーでまたも優勝を逃してしまいました」

「3位表彰台に上ったことは、残りのチャンピオンシップを戦う上で重要なことだと思います。今はただ落ち着いて、いつも通りにやっていくしかありません。ほろ苦い気持ちがありますが、今はこれに満足しています。これからのラウンド、特にアジアラウンドが楽しみです」

 佐々木は今シーズンはまだ初優勝を掴めていないが、表彰台を獲得して着実にポイントを獲得している。前戦の第9戦イギリスGPではランキング2位に浮上し、今大会終了時点では、トップのオルガドと26ポイント差に詰め寄っている。チャンピオンシップ争いを繰り広げている佐々木が、今季初優勝を飾るのも近いのではないだろうか。

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