【夏の甲子園】「えぐい」「誇り」日吉にあふれ返る慶応ファン 悲願達成に「おなかいっぱい食べさせてあげたい」

優勝が決まった瞬間、店内には拍手がわき起こった=23日午後4時50分ごろ、横浜市港北区「洋食とらひげ」

 歴史を塗り替える107年ぶりの栄冠に、地元も揺れた─。23日の全国高校野球選手権大会決勝で宮城の仙台育英高を下し、全国制覇を成し遂げた慶応高。地元の横浜市港北区は、悲願達成の瞬間を待つ住民や慶応大生らの熱気であふれた。「ものすごいことをやり遂げてくれた」「選手一人一人にありがとうと伝えたい」。“夏の王者”に輝いた瞬間には喜びを爆発させ、街全体が歓喜の渦に包まれた。

 「これはえぐいぞ」「やった!」。日吉駅前で2014年に開業し、野球部のナインを見守ってきた飲食店「とんかつ和栗」。食事をしながらテレビにくぎ付けとなった来店客は、プレーボール直後の先頭打者・丸田湊斗のソロ本塁打に大歓声で応えた。千葉県の会社員村井逸人さん(33)は「絶対優勝できる」と確信。仙台育英に1点差まで迫られた三回も「大丈夫、大丈夫」との声が相次いだ。

 部員たちの腹を満たしてきた近くの洋食店「とらひげ」も、慶応ファンであふれかえった。エースの小宅雅己投手が反撃を許さず歴史的勝利が決まると、来店客の興奮も最高潮に。大きな拍手と校歌(塾歌)を高らかに斉唱する声が店内に響いた。

 店主の和田花美さん(60)は「信じられない。『本当にお疲れさま』と伝えたい」、料理長の福永憲司さん(63)も「ものすごいことをやり遂げた。おなかいっぱい食べさせてあげたい」と涙ぐんで喜んだ。

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