受講者2万人達成 富山大空襲語り部の佐藤さん 志賀小で257回目、2001年から出前講座

出前講座の受講者2万人を達成し、花束を受け取る佐藤さん(左)=石川県志賀町の志賀小

  ●「平和の心広まればうれしい」

 「富山大空襲を語り継ぐ会」(富山市)の佐藤進さん(88)=同市藤木=が体験談を語る出前講座の受講者数が23日、2万人に達した。2001年から県内小中学校を中心に続ける講座で、石川県志賀町の志賀小で開かれた257回目で通算2万人を超えた。佐藤さんは「多くの人の支えでここまで来ることができた。少しでも平和の心が広まればうれしい」と語った。

 佐藤さんは志賀小6年生104人を前に、小学4年生のときに富山大空襲に遭い、家族4人で自宅近くの小川に飛び込んで九死に一生を得た体験などを紹介した。戦争は人を被害者にも加害者にもするとし「小さな思いやりが平和な世界をつくる一歩になる」と呼び掛けた。

 伊彩菜さん(11)は「戦争は罪のない人を不幸にする。戦争を知らない人にも学んだことを伝えたい」と感想を語った。出前講座は志賀町遺族協会の平和教育事業の一環で開かれた。

 佐藤さんは講座後、同行した孫の七虹(ななこ)さん(15)から記念の花束を受け取り、笑顔を見せた。

  ●次女と孫も語り部継承へ

 語り継ぐ会によると、現在の語り部は佐藤さんを含め2人のみとなっている。

 空襲経験者の高齢化などで継承が困難となる中、佐藤さんの次女西田亜希代さんと七虹さんの親子は今年4月、語り継ぐ会に入会した。2人は自ら語り部を務めるため、佐藤さんの戦争体験を詳細に記録しようと、改めて話を聞き取り、文章にまとめる作業を進めている。

© 株式会社北國新聞社