海外教育視察に区切り 10回目「交流は末永く」 富山経済同友会

海外視察へ意気込みを語る(左から)牧田副団長、中尾名誉団長、宮原団長=富山市内のホテル

  ●29日から教諭8人欧州へ

 富山経済同友会が15年前から続けてきた海外教育事情視察が今夏、10回目の節目をもって区切りを付ける。23日、富山市のオークスカナルパークホテル富山で会見を開いた名誉団長の中尾哲雄氏は、教諭と経済人の間に交流が生まれることが良さとし「最後も有意義な旅にし、参加者が末永く交流を続けたい」と語った。

 中尾氏と副団長の牧田和樹富山経済同友会代表幹事、団長の宮原京子富山県総合教育センター研究主事が会見した。

 視察は2008(平成20)年に始まった。今回の視察団は計20人で、29日~9月6日、8泊9日でドイツ、オーストリア、デンマークを訪れ、現地の学校などを視察する。

 中尾氏によると、これまでの視察の参加者は帰国後に成果を冊子にまとめ、交流会を重ねてきた。中尾氏は「今回でいったん区切りを付けるが『私が応援したい、やりたい』と手を挙げる人がいればうれしい」とも語った。

 牧田副団長はデンマークやドイツの教育制度が日本と異なる点を紹介した上で「人のネットワークという財産ができることが大きい」と語った。宮原団長は「参加できることは大変幸せなことで、視野を広げてきたい」と意気込んだ。

 視察団の教諭は毎回公募し、今回は定員8人を上回る9人が希望し、小中高教諭8人が選考会で団員となった。県教委の推薦で宮原氏が団長に就いた。同友会からは教育問題委員ら11人が参加する。

 教諭には県の「明日のとやま教育創造基金」から一部旅費の補助があるが、同友会員は全額自己負担で参加する。

  ●遺産引き継ぎ寄付、契機に

 視察事業は、射水市の歌人高松光代氏の遺言で、中尾氏が遺産2千万円を引き継いだのを機に、自ら3千万円を加えて県に5千万円を寄付したことで始まった。中尾氏は「遺産をどうするか迷ったが、高松さんが高校の先生だったから、教育に使ったほうがいいと考えた」と振り返った。

 県は寄付金に5千万円を加えて総額1億円の「明日のとやま教育創造基金」を創設し、国内外の教育視察で活用している。

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