4年ぶり「させぼJAZZ」復活 節目の30回、新たな歴史を グラミー賞小川さんら出演 27日開催

「させぼJAZZ」の成功を願い会議を重ねる実行委メンバーら=佐世保市上京町、セントラルホテル佐世保

 佐世保の音楽文化を継承するジャズイベントがコロナ禍を経て、4年ぶりに復活する。佐世保で音楽を学び世界、日本で活躍する中堅、若手ミュージシャンを迎え27日に長崎県佐世保市三浦町のアルカスSASEBOで「させぼJAZZ 2023」として開催。実行委員会は「音楽で佐世保を盛り上げる。新しい歴史をみんなでつくっていきたい」と準備に奔走している。
 佐世保には戦後、米軍が進駐し、朝鮮戦争時に米軍基地関係者の娯楽としてジャズ文化が栄えた。イベントはその歴史をオマージュし、1991年に実行委を組織して「サンセット99ライブサセボ」という名称でスタート。ジャズ、ロック界のリーダーだった故山下ひかるさん、故百合永貴さんらが中心になって、佐世保が誇るジャズフェスへと成長させた。同時に街中のライブスポットではセッションなどが繰り広げられ、プレーヤーを育てる環境も整っていった。
 2人の思い、情熱を引き継ぐ形で、今回30回目となるイベントを市民有志らが結束して企画。グラミー賞を3度受賞し米国で活躍するパーカッション奏者の小川慶太さん、東京を拠点に活動する新進ドラマー、山近拓音さんが故郷のステージに登場する。
 小川さんはピアノトリオ「JAfro」、山近さんはピアノ連弾とのジャズユニット「EYRIE」で出演。興味深いスタイルで時代をリードする演奏を披露する。

軽快な音色で観客を魅了した2019年のジャズイベント=アルカスSASEBO

 イベントを下支えする佐世保ジャズファンクラブの大友方彦会長(71)は初回から運営に携わってきた。「思いをつないで30回。ジャズの街をみんなでつくってきた。2人の出演は育った佐世保への恩返しのようなもの。特に若い人にステージを見て感じてほしい」と感慨深く語る。
 ほかに米ニューヨーク在住のジャズボーカリストのユニット「ERIKA」が友情出演し、初の試みとして地元高校生で選抜する「ハイスクール JAZZ オールスターズ」がエントリー。佐世保ならではの奏者が集結したプログラムが注目される。
 実行委メンバー約20人を中心に、佐世保北高放送部が司会を務めるなど、幅広い年齢層の総勢約50人のスタッフで運営する。馬郡謙一実行委員長(70)は「若い世代に引き継いでいく必要がある。これからの30年に向けての新たな出発。皆さんの理解、協力に感謝する。ジャズで地域を元気にしたい」とイベント再始動への思いを語る。

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