広島市で行われた陸上競技大会で、女子高校生の下半身を拡大して撮影したとして、男が逮捕されました。関係団体も、「アスリート盗撮」への対応を強化せざるをえない状況です。
広島県の迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されたのは、鹿児島市の会社員の男(56)です。
警察によりますと、男はことし5月、広島市西区であった高校生の陸上競技大会で、客席から4回にわたり女子生徒3人にデジタルカメラを向けて、下半身をことさらに拡大して撮影した疑いが持たれています。
調べに対して「間違いありません」と容疑を認めているということです。
競技中に大会関係者から通報があったことから、警察が男から事情を聞くなどして捜査を続けていました。
男の自宅から押収したハードディスクなどからは、3000本以上の動画が見つかっているということで、警察は余罪の可能性もあるとみて捜査しています。
被害にあった生徒たちは警察の聞き取りに対して、「真剣に記録を狙って競技をしているのに絶対に許せない」「集中して競技に取り組めなくなる」などと話しているということです。
広島県内の高校スポーツを統括する高校体育連盟も、「アスリート盗撮」に対応を余儀なくされています。
広島県高等学校体育連盟 大信寿洋 理事長
「大会会場内の巡回や一般観覧者の観戦エリアの制限、撮影の許可制をするなどの対策など大きな大会ではとってきた。絶対に許してはいけないことなので、今回をきっかけに、より機運を高体連でも作りたい」
高体連は、今後も警察と連携しながら大会を運営していきたいとしています。
スポーツ選手を性的な意図を持って撮影する「アスリート盗撮」は全国的にも問題となっています。今回の逮捕容疑はことし7月に新設されたいわゆる「撮影罪」が施行される前だったことなどから、県の迷惑防止条例違反が適用されました。
一方で、「撮影罪」はユニホーム姿のアスリートを無断で撮影すること自体は対象としていません。ただ、警察はユニホーム姿でも性的な目的をもって下半身や下着などを執拗に狙って撮影した場合などは、撮影罪に該当する可能性もあるとしています。