師匠・杉本昌隆八段王座戦展望「永瀬王座は対藤井戦に万全の準備」 八冠かけた藤井聡太七冠か名誉王座目指す永瀬拓矢王座か 大石邦彦が聞く

杉本八段に聞く「永瀬王座はどんな人?」

藤井聡太七冠が、八冠をかけ王座戦で対局するのは、研究仲間でもある永瀬拓矢王座(30)です。お二人をよく知る、師匠、杉本昌隆八段をスタジオに招き、展望を伺いました。

(「チャント!」大石邦彦アンカーマン)
「永瀬王座、ニックネームは“軍曹”と呼ばれています。“鬼軍曹”と言う人もいるようなんですが、特徴としては、作戦の引き出しが豊富で将棋にストイック、体力勝負に自信ありということなんですけれども。まず、作戦の引き出しが豊富って、これはどういうことなんでしょう」

(杉本昌隆八段)
「そうですね。対戦相手によっていろんな展開を準備して、万全の状態で盤の前に向かうということですね。いろんな形に対応できるということです。例えば『千日手』も多いですが、そういうのも作戦の一環として組み立てているところもあるような気がします」

(大石アンカーマン)
「そしてこの、体力勝負に自信ということなんですけれども」

(杉本八段)
「持久力ですね。長い間将棋盤の前に座っている力というのは必要です。永瀬さんというのは、もう本当にずっと将棋盤の前で集中されてますよね。長期戦得意です」

(大石アンカーマン)
「永瀬王座は、研究会でプライベートで対局するときも、ずっと対局してるらしいですね」

(杉本八段)
「そうですね。本当にご飯を食べる時間以外は、ずっと盤の前に向かっています。(藤井七冠と)お2人ともですけれどね」

「努力で全てが決まる。才能なんか一切いらない」

(大石アンカーマン)
「そして、過去のいろんなコメントを見てみたらこれ驚きました。『将棋というのは、努力で全て決まる。才能なんか一切いらない。負ける場合は、努力が足りなかっただけ』。ちょっとびっくりですね。将棋は才能要らないんですか」

(杉本八段)
「いや、そんなこともないと思うんですよね。永瀬さんは、大変な才能をお持ちなんですけれども、それよりも努力の方が上回ると言われてるんです」

(大石アンカーマン)
「永瀬王座を長年ご覧になっていて、そんなに努力する人なんですか」

(杉本八段)
「そうですね。スケジュール見ていると、もう本当に何か前の日に、例えば東京で対局するなど本当に忙しい中をぬって、翌日名古屋まで来て、藤井七冠と研究会みたいな感じで、もう常に将棋盤の前にいるという印象があります」

「永瀬王座は万全の準備で向かってくる」王座戦展望

(大石アンカーマン)
「お互いね、もう手の内を知り尽くした者同士の戦いになるということで、どんな展開が予想されるんですか」

(杉本八段)
「練習対局と公式戦は違うでしょうから、そういう意味では2人とも新鮮な気持ちで戦われると思います。ただ、永瀬王座は対藤井戦に万全の準備で、向かってくると思います」

(大石邦彦アンカーマン)
「師匠はお二人のことをよくご存知だし、仲もいいと思うんですけども、そうすると師匠、結構つらくないですか」

(杉本八段)
「正直どちらにも勝ってほしいというところありますけれども。でも、よく知ってる、名古屋にもよく来ていた永瀬さんが、八冠を目指す藤井七冠と激突する対局ということで、それが注目されるというのは、嬉しいですね」

(柳沢彩美キャスター)
「ではここで王座戦の日程を見ていきましょう。5番勝負になります。第1局が8月31日から始まります。3勝した方が勝ちということなんですが、第3局は名古屋で行われるんですね。どうでしょう、最短だとここで八冠が決まるということですけれども」

(杉本八段)
「3連勝して藤井八冠の可能性ももちろんあるわけですけど、逆に永瀬王座が3連勝すると、名誉王座ですよね。今4連覇中ですから。どちらに転んでも、ものすごく大きな勝負になるというのは間違いないですね」

(大石キャスター)
「これ、どっちがプレッシャー感じていますか?永瀬王座なのか、八冠を目指す藤井7冠なのか」

(杉本八段)
「どちらも背負っているものが大きいというか、この結果によって名誉王座になるのか八冠になるのかということですけれども。でもそういうのを両者は超越してるところがありますから、もう目の前の対局に集中するんだと思います」

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