人となるべく争わないように、トラブルに巻き込まれないようにして生きていても、他人から思わぬ口撃や非難を受けることもありますよね。
そんなとき、すかさず言い返す人もいれば、言い返すことをしない人もいます。
あなたはどちらの選択をとることが多いでしょうか?
言い返さなかった場合、「こう言ってやれば良かった」「なんで言い返さなかったんだろう」とイライラ・モヤモヤした感情を抱え、後悔やストレスを引きずることもあるかと思います。
他人から理不尽な口撃や非難を受けても言い返さない人たちは、どのようにして自分の気持ちと折り合いをつけ、過ごしているのでしょうか?
「言い返さない」派の人たちの意見と、理不尽な口撃や非難を受けたときにおすすめしたい対処法についてお伝えします。
言い返さない、その理由は?
本記事を書くにあたり、SNSの私のフォロワーさんにご意見を募ったところ、30名ほどの方が回答してくれました。
「言い返さない」という人たちの理由としては、以下のような声がありました。
- 「言っても意味がないと思うので」
- 「時間の無駄だと思うから」
- 「言い返すとよりめんどくさいことになりそうだから」
- 「咄嗟に言い返す瞬発力やエネルギーがない」
- 「刺激に対して即反応しないことをルールにしている」
- 「言い返したら自分だけじゃなく大事な人(家族)に被害が及ぶかもしれないと思って」
言い返さない人たちはどうやって折り合いをつけている?
言い返さないことで議論や争いを避けることができても、イライラやモヤモヤした感情、納得できない思いは抱えるものです。
「言い返さない」派の人たちは、自分の気持ちにどうやって折り合いをつけて過ごしているのでしょうか?
1: 距離を置く
一番多かったのが、「距離を置く」ことでした。
「SNSもLINEもブロックかミュートして、極力関わらないようにする」「縁を切る」という方も複数名いらっしゃいました。
自分から連絡を取らないように、コミュニケーションを取らないようにすると、その人物からまた理不尽な口撃や非難を受けることは少なくなります。触れ合う機会がなければ、嫌な思いも早く忘れることができます。
「あえて何も言わず静かに離れて、相手の成長の芽を摘む方が、相手にとって後々一番効くと思う」というご意見もありました。
2: 心の中で悪態をつく
次いで多かったのが、「心の中で悪態をつく」ことでした。
「心の中で相手を徹底的に罵倒する」「呪いをかける」などのご意見もありました。
距離を置く、縁を切ることができるのならそれが確かに一番楽なのですが、そういうわけにはいかないケースも多々あります。周囲の人に悪影響が及ばないために言い返すのを我慢している人もいます。
心の中でなら何を言っても相手と揉めることはありません。気の済むまで相手に悪口を浴びせかけることができます。
3: 話を聞いてもらう、SNSに投稿する
友人やパートナーに「話を聞いてもらう」というご意見もありました。誰かに話を聞いてもらえるとスッキリすることはとても多いですよね。
また、Instagramのストーリーズや、X(旧Twitter)、ブログなどに、自分の気持ちや怒りの感情を投稿しているというご意見もありました。
今の自分自身が感じていることを言語化して表現することは、ストレスを緩和し、ストレス耐性を高める効果があると言われています。気持ちを落ち着かせる上でとても有効な手立てといえるでしょう。
なお、その際、みなさん「誰の話かは分からないようにする」「ネット上だけのハンドルネームを使って投稿している」といった工夫もされています。
4: 自分の内面に意識を向けて考える
「なぜそれを相手に言われて嫌な気持ちになったのか?」「どうしてそんなに自分は傷ついているのか?」など、「自分の内面に意識を向けて考えてみる」という方も、少数ですがいらっしゃいました。
自分の内面に意識を向けてみると、「自分の意見は相手に受け入れられると当然のように考えていた」「相手に期待しすぎていた」など、見えてくるものは確かにいろいろあるかと思います。
また、そうやって見えてくるものがあると、思いのほかスッキリし、相手に対する怒りの感情も不思議と緩和されます。
言い返すときの伝え方のコツ
理不尽な口撃や非難をしてくる人は、「自分のことを否定している」「馬鹿にしている」「おびやかそうとしている」「正当に自分の価値を認めてもらっていない」など被害的な考えを強く持っており、それが他人への攻撃に転じていることがとても多いです。
そういう人に真っ向から反論しても、火に油を注ぐだけ。聞く耳など持ってくれないことがほとんどです。
とはいえ、時に言い返さなければならない場面、あるいは一言物申したくなることもあるでしょう。
相手に言い返す場合は、相手の言い分は一旦受け取ることが大切です。相手の感情がヒートアップするのを防ぐことができます。
その後、自分の言い分や気持ちを相手に伝えるのですが、その際に「でも~」「だけど~」「いや~」など、相手の反感を買いやすい否定的な接続詞や言葉は使わないようにしましょう。
また、断定的な言い方(「絶対に~です」「~すべきだ」「~してください」など)で伝えることも避けます。
代わりに、「~かもしれないですね」「〜と感じるなあ」など婉曲的な表現で伝えます。メッセージとして弱いと感じるかもしれませんが、心理的抵抗を生むことが少なく、相手の潜在意識に入っていきやすいのです。
NGパターンとOKパターンは以下の通りです。
相手「最近うちのチームに良い案件全く回さないで、ひどいクレーム案件ばっかり回してくるの、私に対して嫌がらせしてるんでしょ!?」
×「いや、そんなことするわけないじゃないですか。みんな平等にやってますよ。そういう決まりですから。案件に対する不満とか意見あるなら、先に部長に相談するべきじゃないですか」
◎「良い案件回ってこなくて、ひどいクレーム案件ばかりで、嫌がらせかと感じているんですね……。みんな平等にやっていますよ。そういう決まりですから。案件に対する不満とか意見あるなら、先に部長に相談する方が良いかもしれませんね」
ポイントは
- 相手の言い分を受け取ること
- 否定や断定的な言葉は使わないこと
- 婉曲的な表現で伝えること
そうすることで、真っ向から立ち向かうよりは、穏便に話を進めつつ自分の思いも伝えやすくなるでしょう。
「言い返さない」ことは大切な選択肢
相手に対してうまく言い返せない自分を、「なんて口下手なんだろう」「私って本当に意気地なしだ」などと責めてしまう人もいるかもしれません。
議論することも時には大切です。しかし、自分の生活や人生と深く関わりがない人と議論する必要って、そんなにあるでしょうか。
ましてや、「自分に正当性がある」「自分が正しい」と思い込み他人をきつい言葉で傷つけようとしてくる人、感情的になって自分の気持ちを一方的にぶつけてくる人と、同じ土俵に上がって真っ向から戦うと、エネルギーをたくさん奪われることになります。
「自分は『言い返せない』のではなく、自分や周りの人を守るために『言い返さない』という選択肢をとっているのだ」と思いましょう。
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誰しも未熟な部分はあるものです。状況や状態によっては感情のコントロールができないこともあるでしょう。
理不尽に口撃や非難をしてくる人の感情に理解を示すことや許すことも大切ですが、まずは自分の心を癒すことを何より優先してあげてくださいね。
今日お伝えした他の方のご意見も参考にしてみてください。
(mimot.(ミモット)/ 黄本 恵子)