【ベトナム】川重、データセンター向け発電機売り込み[電機]

川崎重工グループは、ベトナムでデータセンター向け非常用発電機の販売を本格化する。ベトナムのデータセンター市場は年率15%近いペースで成長しており、停電時でも操業を維持する安定的な運転性能などの強みを訴えて金融機関や外資系企業などに売り込みを図る。

ベトナムで販売するのは、出力600~4,800キロワットのガスタービン型発電機。使用する電力が数万キロワット規模の大型データセンターを主なターゲットとする。

同社発電プロジェクト部の廣田尚史氏によれば、同社の発電機は起動の安定性が特徴。東日本大震災などの災害後も100%近くがトラブルなく起動できた実績がある。軽油を使うレシプロエンジンに比べて、建物内の小さいスペースに設置が可能なためデータセンターへの導入に向いている。建物内への設置に合わせて振動や騒音も抑えており、日本のデータセンター向け非常用発電機ではシェア9割を握っているという。

日本のデータセンターの市場規模は拡大しているが、今後は成長率の鈍化が見込まれるため、川崎重工は経済発展に伴い市場が急成長している東南アジアに目を向けている。特にベトナムは年率15%近いペースで国内のラック総数が増えており、期待は大きい。

データセンターには、災害に対するリスク管理体制や稼働の安定性などを国際機関が評価する格付けがある。川崎重工は、格付けが最も高い「ティア4」のデータセンターを運用する金融機関や外資系企業などに営業を掛ける方針だ。ベトナムでは深刻な電力不足により今夏は北部で輪番停電が実施されたことで、データセンター業界では非常用発電機に関心が高まっているという。

廣田氏は24日、首都ハノイで開かれたデータセンター業界の国際会議で、同社の発電機について「出力する電力も安定している」と説明し、非常用電源としてのメリットを強調した。

データセンター業界の国際会議で川崎重工の非常用発電機について説明する同社の廣田氏=24日、ハノイ

© 株式会社NNA