【マレーシア】日本工営、首都でMaaSの実証事業[運輸]

総合建設コンサルタントの日本工営(東京都千代田区)を傘下に持つID&Eホールディングスは、日本工営が、マレーシアの首都クアラルンプールでITを活用して多様な交通手段を一体的に提供する「MaaS(マース)」の実証事業を実施すると発表した。

日本工営は、グループ会社のASAPモビリティー、デジタルを用いた交通変革を進める地場アジアモビリティーと連携して、「クアラルンプールにおける端末交通と公共交通との統合によるMaaS実証事業」を行う。同事業は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の「日ASEANにおけるアジアDX促進事業」に採択された。

実証事業では、マレーシア財務省傘下の交通インフラ投資会社プラサラナ・マレーシアが推進する公共交通の統合による利便性向上を最終目標とする。実施期間は今年9月~2024年8月まで。

プラサラナは、さまざまな移動手段を組み合わせてアクセス方法を調べることができるマルチモードルート検索、決済手段をクレジットカードに広げるための決済基盤の導入、アプリを使った予約制乗り合いバンのオンデマンド交通サービスの実証など、公共交通の利便性向上や拡大に向けた取り組みを推進している。

これを受けて、日本工営はオンデマンド交通の統合による効果を検証するほか、公共交通の統合に向けたデータ連携基盤の要件を検討する。具体的には、オンデマンド交通と既存公共交通を統合したデジタル乗車券の発行、公共交通にオンデマンド交通を追加したルート検索サービスの提供、公共交通の利用実態などのデータを集約した運行最適化ダッシュボードの構築を行う。

日本工営はプロジェクト全体を総括、ASAPモビリティーは実証効果の検証、アジアモビリティーはデジタルチケットやルート検索などのデジタルソリューションを提供する。

日本工営は、これまでもインドネシアやシンガポールなどの地域でMaaS技術を取り入れた交通課題への新事業の検討や提案を行ってきた。本実証で得た知見を活用して、公共交通機関の利用者を拡大するソリューション提供を実現し、クアラルンプールの交通渋滞の緩和などの交通課題解決を目指す。

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