【ベトナム】ベトジェット、日本線拡充へ[運輸] 副社長、地方都市就航に意欲

ベトジェットは引き続き日本路線の拡大を進める計画だ(同社提供)

ベトナムの格安航空会社(LCC)ベトジェット航空のグエン・タイン・ソン副社長は、NNAの書面インタビューに応じ、地方都市への就航も含めた日本路線の拡充に引き続き取り組んでいく方針を強調した。今年7月には南部ホーチミン市—羽田線が就航し、10月には首都ハノイ—広島線が就航予定だ。日本の地方自治体からは直行便就航を求める声が多数出ており、「潜在的な需要を把握した上で、路線の拡大機会を探っていく」と前向きな姿勢を示した。

ベトジェットの日本路線は現在、ホーチミン市—成田、羽田、関西、ハノイ市—成田、関西、名古屋、福岡の計7路線(週56往復)を運航している。現状は、韓国(計14路線)や台湾(計8路線)など周辺国・地域よりも就航路線が少ないものの、ソン氏は、日本市場について、「重要な市場であり、大きな成長可能性を秘めている」と強調。「日本発着の旅行者により多くの選択肢を提供していくことがわれわれの戦略だ」と述べ、今後も継続的に就航路線を拡充していく方針を示した。

今年7月からは、ホーチミン市—羽田線がデイリー運航で就航し、10月にはハノイ市—広島線(当初は7月予定も延期)も就航予定だ。ベトナムと中国・四国地方を結ぶ初の定期直行便となり、ビジネス・観光の両面で好影響が期待されている。

■定期便、地方から要望多数

ベトジェット航空のグエン・タイン・ソン副社長(同社提供)

ベトジェットはこれまでも、札幌、仙台、新潟、静岡、和歌山、愛媛、鹿児島など地方都市発着のチャーター便を運航してきた実績があり、現在は多くの地方自治体から定期直行便の開設を求める意見が寄せられている。

愛媛県とは昨年8月に定期直行便の開設に向けた覚書を交わしており、新型コロナウイルス流行前の20年には鹿児島県への定期便を就航する計画を発表していた。その他の地方自治体からも、インバウンド誘致やベトナム人技能実習生などの需要を見越して、将来的な定期便就航を求める声は多い。現在は、各都市向けのチャーター便の運航を積み重ねて、定期便開設に向けた需要や課題を精査している段階だ。実現に向けては、安定した搭乗率を確保できるのかが大きな焦点になり、愛媛県などはアウトバウンドの需要喚起により取り組む必要があるとの考えを示している。

ソン氏は、地方都市への定期便就航について、今後の拡大可能性は十分にあると説明。潜在的な需要調査をしっかりと実施した上で、「将来的な実現に向けて、日本の地方自治体やパートナーと緊密に連携して取り組んでいきたい」と述べた。

■国内で好業績際立つ

ベトナムの航空業界では、国営ベトナム航空、新興のバンブー航空の両社で新型コロナ禍以降も厳しい経営が続いており、ベトジェットの好調ぶりが際立っている。

今年上半期(1~6月)の業績は「目覚ましい増加」(ソン氏)を記録し、売上高は前年同期比87%増の29兆7,770億ドン(約12億4,340万米ドル、1,810億円)、税引き後利益(純利益)は2.7倍の3,870億ドンで、大幅な増収増益となった。運航便数は前年同期比26%増の6万5,900便、搭乗客数は30%増の1,210万人と、いずれもベトナム航空(6万4,300便、1,014万人)を上回った。

第2四半期(4~6月)には、オーストラリア、インド、インドネシア行きの11路線を新規開設し、総路線数は120路線(国内線45路線、国際線75路線)となった。

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