【台湾】工業自動化の見本市が開催[経済] ブース数最多、省エネなどテーマ

台北市で工業自動化やスマート製造、ロボットをテーマにした見本市が開かれている=24日(NNA撮影)

台湾・台北市で現在、工業自動化やスマート製造、ロボットをテーマにした見本市「亜洲工業4.0・智慧製造系列展(インテリジェント・アジア)」が開催中だ。域内外の約1,200社が、過去最多となる約4,500のブースを出展。中でも省エネや人工知能(AI)に関する展示が盛況だった。主催側関係者は、初日の来場者数が前年から約1割増えたとみている。【山田愛実、張成慧】

電機大手の東元電機(TECO・エレクトリック・アンド・マシーナリー)は省エネをテーマに、モーターや制御システムを展示した。インターネットやクラウドに接続することで、機械の稼働状態や節電状態に関する数字をモニター上で随時確認することができる「AIコントロールシステム」も紹介した。

担当者は、空調システム向けを例に、冷却水制御システムやモーターを投入することで平均42%の節電が可能になると説明。同社は以前から省エネに力を入れているが、近年は台湾政府が中小企業の省エネ対策に補助策を実施しているためますます需要が増えてきているとし、「われわれは多様な分野のソリューションを提供できる」と強調した。

通風機の製造と販売を手がける欧陸通風設備は、東元電機のモーターやセンサーを搭載したACファンを展示。担当者は「空気の状態に応じてファンの回転速度が自動で変わるため、効率が良く環境に優しい」と紹介した。サイズが小さいことも特長で、病院や無菌室で使用されているという。

空気圧部品を手がける台湾気立(チェリック)は、省エネやAIをテーマに商品の応用例などを展示した。

担当者は、「当社はファウンドリー(半導体の受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)などを顧客に持ち、競合は日本企業」と指摘。「価格は日本企業の製品の約5割に抑えており、優位性がある」と強調した。

同社は4~5年前から製品の省エネ機能を強化。台湾政府の方針もあり、企業の省エネに対する要求は高いという。

このほか、パソコンブランド世界大手、華碩電脳(ASUS)は最大450ワットの画像処理半導体(GPU)カードに対応するエッジAIコンピューター「PE6000G」を台湾で初めて展示。コンパクトなデザインで、動作温度はマイナス20度から60度と幅広い環境に対応することができる。

ASUSはコンパクトなエッジAIコンピューターを展示=24日(NNA撮影)

■日系は50社以上が参加

日系企業はパナソニックや三菱電機、デンソーなどが出展。主催側によると、少なくとも50社が参加した。

このうち安川電機の台湾子会社、台湾安川電機は、風力発電用電池の製造やレーザー加工などさまざまな分野で用いることができる産業用ロボットを展示。安川電機のロボットアームを使い、台湾企業と共同で開発したシステムによる、電動アシスト自転車(eバイク)のフレーム加工も実演している。

担当者によると、アームが360度回転し、少ない動作で正確に加工することが可能だという。

台湾安川電機は、日本で製造したアームの販売や展示、メンテナンス、ロボットのシステムインテグレーションなどを手がけている。

同見本市は、工業自動化の「台北国際自動化工業大展」や産業用ロボットやスマート製造の「台湾機器人・智慧自動化展」、国際物流とモノのインターネット(IoT)の「台北国際物流・物聯網展」、コールドチェーン(低温物流)の「台北国際冷鏈科技展」など八つの見本市からなる。会場は台北南港展覧館1館と2館で、期間は23日から26日までの4日間。

台湾安川電機は多様な産業用ロボットを紹介した=24日(NNA撮影)

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