犀川ダム放水6割抑制 石川県、貯水率の低下で

水位が低下した犀川。中央下は飛来したコウノトリ=24日午後2時、金沢市千日町の新橋から

 記録的な少雨で金沢市の犀川ダムの水位が低下していることを受け、石川県は24日、ダムからの放水量を普段より6割抑える方針を決めた。現在の貯水率は24%で、まとまった雨が降らない状況が続くと9月中旬にはゼロとなる可能性がある。県都の水がめの一つである犀川ダムが底を突けば一部家庭への配水に影響が出る恐れがあり、事前の節水で最悪のシナリオを回避したい考えだ。

  ●1割の節水要請

 県は24日、県庁で犀川水系渇水調整連絡会を開き、関係機関に方針を伝えた。既に今月10日から放水量を5割減らしており、近く、さらに1割を抑制する。合わせて犀川から取水する水道、発電事業者、農業関係者に1割の節水を要請し、了承を得た。

 このうち、金沢市内の家庭に水道水を供給する同市企業局は犀川からの取水量を減らし、その分を手取川の水で賄う。

  ●金沢市企業局、家庭の水「心配ない」

 このため、犀川ダムが枯渇しても市内の大部分の地域に影響はなく、担当者は「手取川だけでなく、市内の内川ダムにも余力がある。配水が逼迫(ひっぱく)する心配はしていない」と話した。

 ただ、湯涌など標高の高い市東部の一部エリアについては、犀川ダムの渇水に伴い、蛇口から出る水の量が減るなどの影響が考えられる。犀川を水源とする末浄水場(末町)からしか水を供給できないためという。

 こうした事態を防ぐため、県は犀川ダムの放水量を制限し、水がなくなるまでの時間を稼ぐことにした。ダムからの放水で発電を行う金沢エナジーは、今月10日から県の要請を受けて設備の稼働時間を半分に短縮した。

  ●まとまった雨なし?

 新潟地方気象台が24日発表した北陸地方の少雨に関する気象情報によると、今後1週間程度は雨の降る日があるものの、まとまった雨の可能性は小さいという。

 同気象台の担当者は「ある程度の雨がいつ頃降るかはまだ見通せない。台風9号も影響すると思うが、進路が定まっていない」と話した。

 金沢市企業局は「この先1カ月雨が降らないとは考えにくい」と指摘。貯水率がゼロになってもダムが干上がるわけではなく、一定の水は確保できるとし、「その水を影響が出る地域に優先的に供給すれば断水は防げる」と話した。

 県によると、犀川ダムの過去10年平均の貯水率は56%で、連絡会が開かれたのは22%まで低下した2018年以来となる。担当者は「雨は降りすぎても困るが、降らなくても困る。早く水不足が解消してほしい」と話した。

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